証人喚問 「真相解明ほど遠い」財務省内からも佐川氏批判 - 毎日新聞(2018年3月27日)

https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/010/129000c
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財務官僚として事務次官に次ぐ国税庁長官にまで上り詰めた「元エース役人」は「捜査」を盾に口を閉ざし続けた。決裁文書改ざん問題で信頼が大きく揺らいでいる財務省の関係者からは懸念やため息が漏れた。
この日、首相官邸の改ざんへの指示を強く否定しつつ、疑惑の多くについて証言を拒んだ佐川宣寿氏。ある同省幹部は「予想はしていたが、真相解明にはほど遠い。幕引きとはならないだろう」と嘆いた。理財局長時代の国会答弁が虚偽だったのではないかとただされた佐川氏は「(部下から)上がってきた答弁を読み込んでいたというのが実態」と釈明したが、省内では「下の者がやったと言っているようだ」と批判の声も聞かれた。
佐川氏は東日本大震災の被災地である福島県いわき市出身。震災後は内閣官房審議官として復興庁の創設に尽力し、故郷の復興などをアドバイスする「いわき応援大使」も務める。能吏との高い評価がある一方、部下への厳しい言動でも知られた。
同省幹部は「自分の主張に沿わない趣旨の質問を反論するかのように否定するのは佐川氏の性格。それが問題を増幅させている」と指摘する。佐川氏の先輩にあたる同省OBも「本音で議論するよりも相手を警戒し建前論を繰り返す傾向があった。テレビ中継を見て昔の印象を思い出した」と話した。
このOBは改ざん問題を教訓に政と官の関係を見直す必要があると訴える。「政治主導の必要性は認めるが、今の官僚は安倍官邸に忠誠を誓うのか、批判的なのかという踏み絵を常に踏まされている印象がある。その際に対応を誤ると今回のような問題になってしまう。政治は役人の公正性と中立性をもっと尊重すべきだ」と話す。【工藤昭久、横山三加子、江刺正嘉】