(政界地獄耳)低レベル発言削除だけでは - 日刊スポーツ(2018年3月22日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803220000146.html
http://archive.today/2018.03.22-105609/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803220000146.html

★20日、参院予算委員会の理事会で質問に立った自民党和田政宗、同委員会公聴会に出席した渡辺美樹両議員の一部発言を議事録から削除することで一致した。和田は19日の集中審議で、森友学園文書改ざんに絡み、財務省理財局長・太田充に対し、過去に民主党前首相・野田佳彦政権で秘書官をしていたことなどを挙げ、「アベノミクスをつぶすため、安倍晋三政権をおとしめるため、意図的に変な答弁をしているのでないか」と発言した。太田は強く否定。党内からもこの発言に異論が相次ぎ、副総理兼財務相麻生太郎に至っては「少なくとも、その種のレベルの低い質問というのは、いかがなものか。軽蔑します」と強い不快感を示した。
★また渡辺は13日の公聴会で、過労死防止を訴えた過労死遺族に対して「お話を聞いていると、週休7日が人間にとって幸せと聞こえる」と発言し、後日謝罪した。いずれにしろ程度の低い質問内容で、党の代表として選んだ自民党の責任も大きいが、衆参ともに院の慣例で、理事会で削除要求が出されれば決議される場合もある。昨今のレベルの低い質問や発言を削除せずに、後世に政治の貧困を示す機会になるとも考えるが、今は公文書改ざんに敏感な時期でもあり、考えさせられることが多い。
★6日の衆院議院運営委員会の理事会では、先月28日に無所属の会衆院議員・福田昭夫衆院本会議で行った18年度予算案への反対討論の中で、「首相・安倍晋三のお友達が理事長を務めていた森友学園」とした。しかし与党から、首相と同学園前理事長・籠池泰典とは会ったことがなく、客観的事実に反するとして削除要求があり、野党も受け入れた。国会は言論の府だ。そこでのやりとりは、議論をするために必要な自由が与えられている。単純な事実誤認や勘違いならともかく、質の低い言いがかりや中傷が、政治の中にはびこっている。もう削除だけでは追い付かない。(K)※敬称略