木村草太教授と読み解く自民党の改憲7案 安保法制を無理に通したツケが回ってきた - 日経ビジネス(2018年3月20日)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071000146/031900025/

自民党憲法改正推進本部が3月14日の役員会で、9条に関する7つの改憲案を示した。3月25日の党大会に向けて、意見集約が進められる。それぞれの案がどのような意味を持ち、どんな違いがあるのか。新進気鋭の憲法学者、木村草太・首都大学東京教授に聞いた。(聞き手は、森 永輔)

木村草太:大きく言えるのは、安全保障法制*を2015年に無理に成立させたツケが回ってきたということです。安保法制を成立させる前なら、自衛隊憲法に位置づけるのは今より容易でした。「日本が武力攻撃を受けた場合にこれを阻止するため自衛隊を置く」とすればよいわけですから。しかし、安保法制があるがゆえに、こうした書き方ではすまなくなっている。
一方、安保法制の合憲性を明確にするには、集団的自衛権行使の限定容認を明示する文言にしなければならない。それは国民投票において国民の理解を得られない可能性が高い。かといって、あいまいな表現を取れば、憲法による統制が意味を成さなくなってしまう。


森 永輔:なるほど。今のお話をふまえて、7つの案を順に見ていきます。まずは「有力案」とされるものから。
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