(大弦小弦)「先輩や友人から名義を貸してと頼まれたら、どう答える?」… - 沖縄タイムズ(2018年3月14日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/222524
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「先輩や友人から名義を貸してと頼まれたら、どう答える?」。首を何度もひねった末に男子高校生が出した答えは「やっぱり貸すかも」。県立高校で卒業前の生徒を対象にした金融トラブルセミナーの一こま

▼ローンに不慣れで社会経験が少ない若者を狙った名義貸しやアルバイト詐欺などの対策の講話だった。被害に遭わないための断り方や知識など、取材する方も勉強になった

▼こうした消費者被害を防ぐ対策がもっと必要になるだろう。成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が閣議決定された。成立すれば18、19歳でも親の同意なしにクレジット契約を結んだり、お金を借りることができるようになる

▼選挙権年齢の引き下げなど若者の社会参加の流れも後押しし、明治時代から続く「大人の定義」が変わる。男女の年齢差に合理性がなかった結婚年齢の統一も盛り込まれ、改正の意義も大きい

▼消費者保護関連の法案も議論されるが、詐欺被害に遭いやすい若者のSNSの利用実態などに合わせたきめ細かな対策が求められる。教育の充実も当然ながら、自立と保護の両面から新成人を迎えることが、現行の「大人」の責任だろう

▼残念ながら若年者の消費者トラブルも、その加害者は「大人」。改正案の議論が、新たな「大人」の手本となることを期待したい。(赤嶺由紀子)