(政界地獄耳)明治以来の不祥事、不遜な麻生会見の見え方 - (2018年3月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803120000292.html
http://archive.today/2018.03.12-013737/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803120000292.html

国税庁長官・佐川宣寿の突然の辞任で、財務省文書書き換え疑惑は決着となるのだろうか。そもそも書き換えではなく改ざんだし、佐川は辞任ではなく更迭とみれば、まさに「トカゲのしっぽ切り」と言わざるを得ない。エリート中央官庁が公文書を改ざんして、ごまかし通そうと組織ぐるみで防衛していた。明治の官僚システムが出来上がって以来、最悪の不祥事で、平成時代は締めくくられようとしている。
★官邸はかなり強気のようだ。首相・安倍晋三に、副総理兼財務相麻生太郎を辞任させる気は全くない。かなり無理筋の理由を作ってでも、麻生を守るはずだ。麻生が辞めれば、内閣が持たないからだ。ただ佐川が理財局長としてとぼけ続け、逃げ切れると思ってもぼろが出始めて、財務省は追い込まれた。9日の麻生の「適材適所だが、懲戒処分」という誰が見ても支離滅裂で不遜な会見を、世論がどう受け止めるかに、今後のカギはあるだろう。
★今回の森友文書改ざん疑惑は、新聞がリードし、野党が詰め寄ったという形になった。首相から「哀れ」とまで言われた新聞のプライドをかけた戦いだが、本質は公文書改ざんではない。そもそも大阪府が2012年、森友学園の要望を受けて私立小学校設置認可基準を緩和していたことが判明。幼稚園しか設置していない学校法人が、小学校の開設に借入金を充てることを容認するもの。当初から異例の対応で、小学校開学のさまざまな、そして強引な、過去に前例のないスキームが作られ続けた。そこに首相夫人が名誉校長として名を連ねたことから、始まったのだ。
★忖度(そんたく)は流行語になったが、忖度する理由は、首相官邸霞が関の局長以上の人事権が集まったことにある。嫌と言えない構図は、忖度とは言わない。過去にも歴代首相の職務権限が問われたことがあったが、官邸に人事権が生まれた段階で、職務権限は発生すると考えるべきだ。官邸と大阪府知事の関与が次の段階になる。(K)※敬称略