「森友」書き換え 政権の責任は免れない - 東京新聞(2018年3月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031202000173.html
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森友学園への国有地売却に関する決裁文書に書き換えがあったと財務省が認める方針だという。安倍政権の「隠蔽(いんぺい)体質」の表れではないのか。財務省にとどまらず、政権全体の責任は免れまい。
書き換えがあったのは、二〇一六年六月に学校法人「森友学園」側と国有地の売買契約を結ぶ際の決裁文書に添付した調書などである。当初の文書に記載されていた交渉経緯や契約の「特殊性」といった文言が、国会議員らに昨年開示された文書からは削除されていた。財務省は、こうした例が複数判明したとの調査結果をまとめ、国会にきょう報告する。
森友学園への国有地売却をめぐっては、格安で売却された真の理由、学園理事長らとの近しい関係を公言していた安倍昭恵首相夫人らの意向や官僚の忖度(そんたく)の有無など疑問は多く、真相解明には至っていないのが現状だ。
財務省が決裁文書の書き換えを認めたとしても、いつ、誰が、どういう目的で書き換えたのか。誰かの指示があったのかなどの疑問は残る。仮に書き換えが昨年二月の問題発覚後に行われていたとしたら、事実隠蔽の意図が疑われるのは当然で、悪質極まりない。
決裁文書の国会提出時に担当の理財局長だった佐川宣寿国税庁長官は国会混乱などの責任を取って九日付で辞任したが、佐川氏は書き換えに関与していないのか。
そもそも佐川氏の国会答弁については、信ぴょう性が疑われる事実が次々と明らかになっている。
売却経緯を記した内部文書を、佐川氏は「破棄した」と答弁したが、実際には保存されていた。
佐川氏が否定した学園側と近畿財務局との事前の価格交渉についても、交渉を行っていたことをうかがわせる音声データや内部文書の存在が明らかとなった。
佐川氏が国会で偽りの答弁をしていたとしたら、一年余の国会審議の前提が覆る。国権の最高機関である国会のみならず、国民を欺く行為にほかならない。
辞任での幕引きは許されない。与野党は一致して国政調査権を発動し、佐川氏の証人喚問を速やかに議決し、全ての関係資料提出を政府に求めるべきである。
安倍政権は公文書の扱いにとどまらず、行政監視を担う国会への対応があまりにもずさんだ。
佐川氏の答弁を許容し、国税庁長官起用を適材適所などと国会で擁護してきた安倍晋三首相や麻生太郎財務相も、任命責任政治責任を免れないのは当然である。