(政界地獄耳)日本孤立「北外交」 - 日刊スポーツ(2018年3月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803090000212.html
http://archive.today/2018.03.09-010216/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803090000212.html

★俯瞰(ふかん)する外交どころか、孤立が鮮明になってきた。北朝鮮が非核化の意思を示し、南北首脳会談の開催で合意したことで、北朝鮮問題は新しい局面を迎えた。複数のワシントン外交筋などは、韓国主導の北朝鮮非核化交渉に、米政府が関与していることを認めた。韓国統一省は「軍事的緊張が最も高い場所で、朝鮮半島の平和を目指す首脳会談が開かれるのは、朝鮮半島だけでなく、全世界的に意味があると考えます」と誇らしげに発表。既に「対話が続く間、北朝鮮は追加の核実験や弾道ミサイル試射を行わない」との合意も取り付けてある。
★これで非核化に向けたお膳立ては、整ったのか。一方、この米国関与をけん制するように、ロシアのスルツキー下院外交委員長は「米国のような外部勢力が対話に干渉しないことが重要だ」と発言。大国のさや当てはともかく、我が国にとって平和の機運は歓迎すべきだが、韓国の保守系の野党も「発表された合意の通りなら、歓迎するに値する」。その一方で「また北朝鮮にだまされてはならない」、「北の時間稼ぎ」とくぎを刺す。
★その韓国保守派のような対応を一貫してとり続け、「圧力」という文字しか頭にない日本外交は、この流れの中で孤立化するのではないか。平昌五輪中も首相・安倍晋三は「対話のための対話では意味がない」、「非核化に向けて圧力を最大限まで高める」と言い続け、文在寅ムン・ジェイン)韓国大統領に「パラリンピック後の米韓軍事演習をやるべき」と進言。しかし「内政干渉だ」と一蹴された。日本外交は米国と歩調を合わせるとしているが、「圧力」を日本に分担させ、「対話」を韓国に進めさせていたと考えれば、日本外交は米国の言いなりで何も得られず、役割も示せなかった。首相は8日の参院予算委員会でも「北朝鮮の圧力を最大限まで高める」と言い張る。孤立化決定。(K)※敬称略