森友文書問題 国会での解明に応じよ - 東京新聞(2018年3月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018030702000147.html
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財務省の公文書が決裁後に書き換えられていたとしたら、行政への信頼を脅かす重大な事態だ。事実解明は国政調査権を有する国会の責任でもある。財務省は国会での解明に全面的に応じるべきだ。
問題となっているのは、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐり、財務省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作成した文書である。契約当時のものと、その後、国会議員らに提示されたものとでは違っていると、朝日新聞が報じた。
議員らに提示されたのは、格安での売却が明らかになった昨年二月以降。学園への便宜や、安倍晋三首相夫妻の関与の有無が、国会で追及され始めた時期と重なる。
議員らに提示された文書では、学園の要請にどう対応してきたかを記述した部分や、学園との取引について記した「特例的な内容」「本件の特殊性」などの文言が削除されていたという。
学園への便宜の有無にかかわる根幹部分だ。文書の書き換えが事実であり、それが真相を隠す目的だったとしたら、国民に対する重大な背信行為にほかならない。
財務省幹部が学園側との交渉をめぐり、事実を隠すような答弁を国会で繰り返していたのなら、議員を選んだ全国民を愚弄(ぐろう)する行為でもある。断じて許されない。
財務省はきのう参院予算委員会理事会に「調査の状況の報告」と題する文書を提出したが、野党側が求めていた文書自体の提出は拒み、書き換えの有無についても確認を避けた。
大阪地検特捜部が背任容疑や、保存義務のある交渉記録を廃棄したとする公用文書毀棄(きき)容疑で捜査しており、国会への文書提出を拒む理由に捜査への影響回避を挙げているが、事実解明を妨げる理由に捜査を利用すべきではない。
そもそも、問題発覚から一年以上が経過しても、いまだ事実解明に至っていないのは、財務省や安倍政権中枢が、国会による国政調査に対して積極的に協力してこなかったからではないのか。
自民党二階俊博幹事長は文書について「出せないということはわれわれも理解できない」と述べた。財務省が提出を拒み続けるのであれば、与野党が協力して、国会法に基づいて文書提出を要求することも検討すべきだ。
文書書き換えの有無を確認するには当時の関係者、特に佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)が真実を語ることが欠かせない。国会に証人喚問すべきは当然である。