(政界地獄耳)国の二枚舌を国会で指摘した枝野 - (2018年2月16日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802160000274.html
http://archive.today/2018.02.16-013948/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802160000274.html

衆院予算委員会でめどが立たない党首討論の代わりなのか。立憲民主党代表・枝野幸男が107分間、首相・安倍晋三、副総理兼財務相で元首相の麻生太郎らを徹底的に質問攻めにした。安倍政権が掲げる働き方改革などの政策や憲法論議の盲点、モリ・カケ問題の追及とテーマは多岐にわたるが、今後の国会論戦の方向を決める示唆に富む質問と、野党第1党である立憲に続けとの野党内アピールも、この質問には含まれていたと解釈した。
★ことに圧巻なのは「存立危機事態」について。枝野は「自衛官は防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める裁判」の資料を持ち出した。「国が、昨年の11月27日、『国難だ』と言って衆議院解散があった後です。北朝鮮情勢が緊張している、今にも北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもと危機があおられているド真ん中で、政府が裁判所に提出した準備書面の中には、『現時点で存立危機事態も発生しておらず、また現時点における国際情勢にかんがみても、本件訴訟が継続する当面下において、将来的に上記事態が発生することを、具体的に想定し得る状況にはない』。国側の主張です」。
★枝野は続けた。「政府は、一方では、いかにもすぐに存立危機事態が生じるかもしれないといって、安保法制を急いだ。いかにもミサイルが飛んできそうな危険をあおりながら、一方で同じ国が違うところではそんな具体的危険はないと、堂々と国として正式に主張している。こういうのを二枚舌というんじゃないでしょうか」と、国難解散の裏で国が二枚舌を使っていたことを指摘した。枝野や立憲の面々、多くの野党にとって先の衆院選は、人生のターニングポイントになった。その選挙の位置づけについての指摘は、枝野らしい。勝負あった。(K)※敬称略

関連記事)
安保法訴訟 現職自衛官の訴え、東京高裁が審理差し戻し - 毎日新聞(2018年1月31日)
https://mainichi.jp/articles/20180131/k00/00e/040/300000c
http://archive.today/2018.01.31-085206/https://mainichi.jp/articles/20180131/k00/00e/040/300000c

安全保障関連法に基づく防衛出動は憲法違反だとして、現職の陸上自衛官が国を相手取り、出動命令に従う義務がないことの確認を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は31日、訴えを却下した1審・東京地裁判決(昨年3月)を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。
安保法を巡る訴訟で現職自衛官の訴えの利益を認め、裁判を起こせるとした判断は初めてとみられる。
1審は「原告の部隊に出動命令が出る具体的な可能性があるとは言えず、訴える利益がない」と指摘。提訴自体が不適法だとして、裁判で争うことはできないとの判断を示していた。【近松仁太郎】

1審・東京地裁判決(2017年3月)
安保関連法・防衛出動 自衛官の命令従属義務なし請求却下 - 毎日新聞(2017年3月23日)
https://mainichi.jp/articles/20170324/k00/00m/040/085000c
http://archive.today/2018.02.16-013511/https://mainichi.jp/articles/20170324/k00/00m/040/085000c

東京地裁「訴える利益がない」
安全保障関連法に基づく防衛出動は憲法違反だとして、関東地方の補給部門に勤務する陸上自衛官が国を相手に命令に従う義務がないことの確認を求めた訴訟で、東京地裁は23日、訴えを却下した。吉田徹裁判長は「原告の部隊に出動命令が出る具体的な可能性があるとは言えず、訴える利益がない」と指摘し、裁判で争うことはできないと判断した。
集団的自衛権の行使容認を柱とする安保関連法は2015年9月に成立した。判決は防衛出動命令について「近い将来に発令される事態に現実的に直面しているとは言えず、原告の主張する危険や不安は抽象的なものにとどまる」と指摘した。
自衛官は1993年入隊。「入隊時に憲法順守を宣誓し、集団的自衛権行使に従うことは同意していない。命令を拒否すると罰則が科される恐れがある」と主張していた。【伊藤直孝】