<金口木舌>家庭科で培う生活力 - 琉球新報(2018年1月30日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-655684.html
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大学入試センター試験に、アニメの「ムーミン」がお目見えした。舞台となった国の言語との組み合わせを答えさせた。正解はフィンランド語で値段を問う「パリヨンコ セ マクサー」

▼これに疑問符が付いた。アニメの舞台設定は架空のムーミン谷だ、というもの。ムーミン公式サイトは舞台がどこかは「検証に委ねたい」と反応。北欧研究者らも巻き込み、論争に発展した
▼原作者はフィンランド人で、同国の作品との印象はある。設問を見たが、そもそもフィンランド語が分からず、解きようがなかった。受験で問われる知識とは何かと思っていたら刺激的な表題の本を見つけた
▼「人生の答えは家庭科に聞け!」。恋やおしゃれ、家族との関係など悩みへの向き合い方を若者にガイドする。著者の一人、南野忠晴さんは大阪府立高の英語教員から試験を受け直し、家庭科教員となった
▼転身のきっかけは、何をするにも無気力な生徒らとの関わり。心の持ちようと思っていたが「生活の問題なのでは」と感じ、家庭科の大切さに目を向けるようになった
▼別の著作で「生活力」の大切さを掲げる。工夫して身の回りを切り盛りできれば「何とか生きていける」との自信につながると説く。生活の見直しを促される。大人にこそ読んでほしい。寒い日にはつらいが、まずは起きるべき時間に自分で起きることから、だそうだ。

人生の答えは家庭科に聞け! (岩波ジュニア新書)

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