(政界地獄耳)勝ち組優遇政策のつけ追及を - 日刊スポーツ(2018年1月25日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801250000208.html
http://archive.is/2018.01.25-014258/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801250000208.html

★22日に召集された第196通常国会で首相・安倍晋三は衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。首相は少子高齢化の「国難」に立ち向かうために「働き方改革」「人づくり革命」「生産性革命」を実行に移すとし、もう1つの「国難」の北朝鮮には非核化と拉致問題の解決に向けて「いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然(きぜん)とした外交を展開する」と述べた。その後野党は一斉に反発し代表質問で具体的な反論を始めた。
★施政方針演説直後、立憲民主党代表・枝野幸男は安倍政権の経済政策を「強い者をより強くし、豊かな者をより豊かにする方向が明確ではないか」と指摘。民進党代表・大塚耕平は「働き方改革」を「働く者にとっての改革になればいいが、働かせる側にとっての改革では困る」と批判する。いずれも民主党民進党時代からの安倍政治への批判に大差なく、その程度の攻撃では生ぬるいのではないか。
★冷戦構造が崩れ小選挙区制度導入で日本の政治構造も変わった。その大きな例が昨年の民進党瓦解(がかい)だ。これで55年体制は1つの決着を見ることになるが、実は自民党も大きな変化をしていた。小泉政権のころから分厚い中間層を社会の中心に置く社会構造を新自由主義経済を軸とした勝ち組優遇の格差社会是認政策へと転換した。そのつけが今日の経済状況だ。官邸は株価高騰がアベノミクス成功の象徴のように見ているが、それこそが一部の人間への富の集中だ。だがその根本に根づく新自由主義経済万能社会を直ちにやめることが大事なのではないか。この議論が今国会で深まることを期待したい。(K)※敬称略