北密輸船 海自が監視 米軍要請、公海上 - 東京新聞(2018年1月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011302000115.html
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北朝鮮による海上での石油精製品の密輸を防ぐため、海上自衛隊の艦艇が朝鮮半島西側の黄海日本海の公海上で警戒監視をしていることが十二日、分かった。国連安全保障理事会の制裁決議に反し、外国船舶から北朝鮮の船に積み荷を移し替える「瀬取り」が横行しているとみられ、こうした制裁逃れの阻止に自衛隊が関与するのは初。複数の政府関係者が明らかにした。海自が収集した情報は米軍と共有、日米の一体化が加速度的に進む実態が鮮明になった。
カナダのバンクーバーで十六日に開かれる北朝鮮関連の外相会合で、日本側が警戒監視の状況を説明する可能性もある。
関係者によると、米軍側は昨年十二月、日本政府に北朝鮮の船舶に関する警戒監視を要請。政府は昨年末から黄海日本海での取り組みを始めた。
海自は東シナ海を中心に一日に数回パトロールするP3C哨戒機が周辺海域で不審な船舶を発見した際、海自艦を現場に派遣。黄海では、韓国が海上の境界線と位置づける北方限界線(NLL)付近まで北上することもある。
海自のこうした活動は、通常の警戒監視の一環として行うが、外国船舶を強制的に調べるには、自衛隊法に基づく「防衛出動」の発動などが必要となり、実施するにはハードルが高い。そのため、活動は船舶の動向把握や情報収集が主な目的で、日本海側でも同様の活動をしている。海自艦が船舶の写真を撮影するなどして、米軍を通じ、北朝鮮への経済制裁を主導する米国に情報提供するという。
北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、安保理は段階的に制裁を強化。昨年九月の制裁決議では、海上北朝鮮の船に積み荷を移すことを禁じた。同十二月の決議は北朝鮮への石油精製品の輸出を九割削減することや、海上での石油や石炭の密輸防止に向けた船舶の貨物検査強化を義務づけた。
海外メディアなどは香港船籍の貨物船やロシア船籍のタンカーが、海上北朝鮮船舶に石油精製品を移し替えたと報道。米財務省も同十一月、北朝鮮の船に積み荷を移し替える様子を捉えた写真を公開し、韓国メディアなどが中国船の関与の可能性を報じている。

安保理北朝鮮制裁決議> 国連安全保障理事会北朝鮮の核・ミサイル開発を断念させるため経済、外交面を中心に科してきた制裁決議。核実験や大陸間弾道ミサイルICBM)の発射実験を受けて採択してきた。当初は大量破壊兵器計画に関与する個人・団体の資産凍結・渡航禁止が柱だったが、船舶の貨物検査、金融サービスの禁止や原油供給の規制などを加え段階的に強化。制裁を伴う決議は法的拘束力があり国連全加盟国に履行義務が生じる。