除染手抜き 内袋閉め徹底を指示 環境相、全元請けに文書指導 - 東京新聞(2018年1月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010602000135.html
https://megalodon.jp/2018-0106-1058-00/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010602000135.html

東京電力福島第一原発事故に伴う福島県内での国の除染事業で、防水用の内袋を閉じていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、中川雅治環境相は五日の閣議後記者会見で、元請け事業者に対して内袋を閉めることを徹底するよう文書で指導したことを明らかにした。
この問題では二〇一五年十月、大手ゼネコンの大成建設などの共同事業体(JV)が受注した飯舘村比曽地区の除染現場で、名古屋市の二次下請け業者の施工分の三割に当たる千袋で、内袋を閉めずに除染土壌が露出する手抜き作業が発覚。昨年十月に南相馬市の除染現場で本紙が無作為に選んだ百袋を調べたところ、三十二袋で内袋が閉まっていなかった。通常、除染現場では袋全体を防水シートで覆う作業が不要とされており、内袋が閉まっていなければ、雨水が中に入り込み、汚染水となって漏れ出る恐れがある。
中川氏は「極めて遺憾。地元の皆さまの信頼、理解を損なうことになる」としたうえで「内袋を閉めるのは当然のこと。再発防止のため、現場の管理を強化したい」と述べた。環境省は本紙取材を受けて、大成を含む全元請け事業者に文書を送付。除染現場でフレコンの内袋が閉められているかの確認を徹底し、状況に応じて防水シートを使用するなど雨水対策を強化するよう求めたという。
一方、既に現場から仮置き場に移送し、保管されているフレコンに関して、中川氏は「膨大な量があり、すべて開けて(内袋を)確認するのは物理的に不可能。かえって袋の中の土壌などを飛散させてしまう恐れがある」とした。仮置き場で定期的にチェックしている空間線量や地下水線量で異常値は出ていないという。