加計だけ2大学に補助金 16年度新設私大事業 文科省「優遇ではない」 - 東京新聞(2017年12月31日)

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二〇一六年度に国が実施した私立大学への研究補助事業で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」だけが、運営する二校が選定されていたことが分かった。当時は、加計学園に有利な条件で国家戦略特区での獣医学部新設が決まったばかりの時期。所管する文部科学省は「加計学園を優遇したわけではない」と説明するが、識者は疑問を投げかけている。 (中根政人)
補助事業は、文科省が一六年度に始めた「私立大学研究ブランディング事業」。「独自性の高い研究や事業に取り組む私大」に対して補助金を新たに交付したり、増額したりする。
一六年度は計百九十八校の応募(応募主体の学校法人数は非公表)があり、同年十一月二十二日に四十校が選定された。この中で、加計学園が運営する岡山理科大岡山市)が「恐竜研究の国際的な拠点形成」、同じく千葉科学大(千葉県銚子市)が「『大学発ブランド水産種』の生産」などの研究で、それぞれ選ばれた。同じ学校法人から複数選ばれたのはこの二校だけ。
補助金の交付期間は少なくとも三年間で、中間評価の結果が良ければ最長五年間。一六年度の二校への補助金は計約一億一千六百万円に上った。
一七年度(百八十八校応募、六十校選定)も、同じ学校法人から二校選ばれたケースが一例あった。加計学園ではない。
一六年度の補助金交付が決まる約二週間前の一六年十一月九日、国家戦略特区諮問会議は、「広域的に獣医学部のない地域」を条件に獣医学部新設を決定。加計学園と競合する京都産業大京都市)は関西圏に別の獣医学部があるため不利となり、今年一月に加計学園が事業者に選ばれた。
補助金交付は学識経験者らの委員会が審査したが、委員名や議事内容は公表されていない。文科省の担当者は、加計学園だけ二校に補助金が決まったことについて「応募は大学単位なので意識していなかった。獣医学部の検討状況はまったく知らなかった」と説明。加計学園は「適切に申請した」とコメントしている。

◆決定理由、公表すべき

<市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聡(だいご・さとし)・東大名誉教授の話> 加計学園が提案していた獣医学部新設の検討状況を知らなかったとの文部科学省の説明は、当時の政府内の作業を考えると通用しない。文科省補助金の決定理由を大学別に公表すべきだ。