(筆洗)世界には、奇妙な法があるものだ。 - 東京新聞(2017年12月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017123002000104.html
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世界には、奇妙な法があるものだ。米国のジョージア州のある町には「フライドチキンは手で食べるべし」という条例があり、フォークを使うと逮捕される可能性もあるという。
伝統を大切にする英国には恐ろしく古い法も残っていて、たとえば、七百年前に制定されいまだに効力を保っているのは「議員は甲冑(かっちゅう)を着用して国会議事堂に入ってはならぬ」との法律。時代遅れもここまでくると文化遺産のようなもの。現実に支障は来さぬから廃止されなかったのだろう。
この国にも頭をひねらざるをえぬ規則は多々あろうが、「奇妙な規則の殿堂」ともいえるのが、学校だ。若者の支援をするNPO有志が理不尽な校則を募ったところ、あるわ、あるわ…
カップルは一緒に帰ってはいけない」は中学校の校則。「授業中のトイレは男子一分、女子三分程度にしなければ欠席扱いに」は高校の校則。「登山での水飲み禁止」と、恐ろしく時代遅れの校則もある
さらに驚かされるのは、「誰かの校則違反を告げ口すれば、自分が過去に没収された漫画を返してもらえる」という校則。恋愛もトイレに行くことも監視され、密告が奨励される…とは、悪夢のような超管理社会ではないか。
理不尽な校則を一方的に押し付けつつ、「自分で考える力をつけよう」と諭す。学校とは「矛盾に満ちた社会の現実を教える場」ということか。