自民 憲法改正の論点整理 「自衛隊の明記」は両論併記 - NHK(2017年12月20日)

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自民党憲法改正推進本部は20日、会合を開き、衆議院選挙の公約で掲げた4つの改正項目について、論点整理をまとめました。焦点の「自衛隊の明記」は、戦力の不保持などを規定する9条2項を維持するかどうかで意見が分かれていることから、両論を併記しました。

自民党憲法改正推進本部は20日、ことし最後となるすべての議員を対象にした会合を開き、衆議院選挙の公約にも掲げた4つの項目について、論点整理をまとめました。

それによりますと、焦点の「自衛隊の明記」については、今の9条1項と2項を維持したうえで自衛隊の存在を規定する条文の追加にとどめるべきだという意見と、戦力の不保持などを規定する9条2項を削除し、自衛隊の目的や性格をより明確化する改正を行うべきだという意見に分かれているため、両論を併記しました。

また、大規模災害などに対応するための「緊急事態対応」については、意見集約が進んでいないため、国会議員の任期の延長などの特例を設けることと、一時的に政府の権限を強化したり個人の権利を制限したりする規定を設けるとした2つの意見を示すにとどめました。

一方、「参議院の合区解消」については、47条を改正し、参議院選挙では改選ごとに都道府県から少なくとも1人は選出できるよう規定するほか、「教育の無償化・充実強化」では、「無償化」という文言には言及せず、26条に教育環境の整備を政府に促す規定を追加するなど、党内でおおむね一致した改正の方向性を示しました。

そのうえで、憲法改正は、国民の幅広い支持が必要だとして、4つの項目も含め、各党から提案があれば真剣に検討したいと明記し、各党との協議を重視する姿勢を打ち出しています。

会合のあと、本部長を務める細田前総務会長は記者団に対し、「さまざまな意見もあるので、無理をして年内に『わが党の結論はこうである』と言う状況では必ずしもない。年明け、できるだけ早く議論を再スタートしていきたい。みんなが賛成して支持するような案でなければならず、それがいちばんの早道だ。無理やり早く進めることは本意ではない」と述べました。

中谷元防衛相「各党代表との積極的議論へ努力」
衆議院憲法審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党中谷元防衛大臣は、記者団に対し、「今回の論点整理は、今まで出された意見をバランスよく整理したもので、今後の議論の基礎になるものだ。国会の憲法審査会でも、各党の代表と憲法改正の具体的な内容について積極的に議論ができるよう努力したい」と述べました。
石破元幹事長「なぜ4項目なのか説明必要」
自民党の石破元幹事長は、記者団に対し、「論点の取りまとめは了とするが、なぜ今、この4項目なのか、きちんと説明しなければいけない。発議に必要な3分の2の賛成が取れる取れないではなくて、なぜ、これなのかを確定しないと、3分の2を取る推進力にもならない。9条については、これからさらに議論し、党として結論を出さなければいけない」と述べました。