自民改憲本部 9条第1項と2項を両論併記 論点整理 - 毎日新聞(2017年12月20日)

https://mainichi.jp/articles/20171221/k00/00m/010/002000c
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自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は20日、全体会合を開き、改憲を目指す4項目の論点を整理した。安倍晋三首相が5月3日に提起した自衛隊の存在を明記する改憲を巡っては、9条第1項(戦争放棄)と第2項(戦力不保持)を維持するか、第2項を削除するかで党内の意見が分かれているため、両論を併記した。論点整理は大筋で了承され、同党は年明けから意見集約に入る。
論点整理は「自衛隊がわが国の独立、国の平和と安全、国民の生命と財産を守る上で必要不可欠な存在との見解に異論はなかった」と記述した。
しかし、第1項と第2項を維持する首相の考え方に対し、石破茂元幹事長らは2012年の党憲法改正草案に沿って第2項を削除するよう主張。推進本部は現時点でどちらかに絞るのは得策でないと判断した。第2項削除論に関しては「自衛隊の目的・性格をより明確化する」と説明している。
大規模災害などに備えた緊急事態条項を創設することについても、(1)国会議員の任期を特例で延長(2)政府への権限集中や私権制限の規定−−という二つの意見を並べた。政府への権限集中は12年草案に盛り込まれたが、他党では批判的な意見が強い。
参院選挙区の「合区」を解消するための改憲では、3年ごとの改選で「都道府県から少なくとも1人が選出可能となるよう規定する方向でおおむね意見は一致している」と明記した。
当初、改憲項目として議論してきた教育無償化については、論点整理では「無償化」の文言を使わなかった。党内に否定的見解が多いためで、「国が教育環境の整備を不断に推進すべき旨を規定する」という方向性を示した。
自民党は当初、年内に改憲案をまとめようとしていたが、衆院選などで議論が遅れ、論点整理にとどめた。