http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/184307
https://megalodon.jp/2017-1215-0949-29/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/184307
ふと目に入った東京メトロ（地下鉄）の車内広告。「妊婦さんへ『やさしさ』を届けよう ＬＩＮＥで席ゆずり実験」。無料通信アプリのＬＩＮＥ（ライン）を活用し、車内で座りたい妊婦と座席を譲る乗客を仲介する試みの告知だった
▼１１〜１５日の銀座線の最後尾車両だけで１日８本が対象。ＬＩＮＥに事前登録した乗客にメッセージが届き、乗客が座っている場所を伝え、近づいてきた妊婦に譲る仕組みだ
▼実際に登録して乗ってみた。午前１０時８分発の上野駅。結構混み合い満席。つり革につかまり立った。数駅過ぎた辺りでメッセージが来た。「妊婦さんが近くにいます。おなかの赤ちゃんにやさしさをおすそ分けしましょう」
▼胸の高鳴りを抑え「今は座っていない」の表示を選択。「またの機会にサポートをお願いします」と返信が届く
▼程なく若い女性が近寄り、ＬＩＮＥの画面を見せ合い、私の目の前に座るご婦人と替わった。「どうぞ」「ありがとうございます」。笑顔で会釈を交わす。何事もないように電車は進んだ
▼ＬＩＮＥがなくとも譲るのが当然という声もあろうが、マタニティマークを着ける妊婦が嫌がらせされるご時世。文明の利器を使って橋渡しするやり方もあっていい。困っている相手にささやかな厚意を伝える「優しさ」もデジタル化されている。（西江昭吾）
