(政界地獄耳)改憲 首相・安倍晋三の記念碑的目標か - 日刊スポーツ(2017年12月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201712110000123.html
http://archive.is/2017.12.11-003853/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201712110000123.html

改憲議論が活発だが、どうも自民党改憲論は、どこでもいいからいじれそうな箇所、野党が賛同しそうな箇所を探しているように思える。改憲自体が目的で、改憲さえできればどこでもなんでもいいという考えのようだ。この発想自体が自民党改憲とは首相・安倍晋三改憲を断行したという記念碑的目標が見え隠れする。
★首相の長年の主張は「憲法は占領軍の手によって、憲法の専門家ではない人たちによって2週間そこそこで書き上げられたもの」という認識の元、憲法の前文については「敗戦国のいじましい詫び証文」「みっともない」と主張している。改憲項目をどうするかというよりも、首相はこの憲法ではだめだと主張している。
★6日、衆院議長・大島理森は元衆院議長・伊吹文明らと懇談する場を設けたが、その席で「首相の意向で、国権の最高機関の解散を決められるのはおかしい」との意見が出たという。「首相が自由に解散権を行使することを縛るべき」や「国会の開会を受け入れない首相に対して憲法で縛るべき」ということも立憲民主党代表・枝野幸男の持論だが、改憲論と距離のある立憲が指摘している問題点に同調することで改憲議論をスムーズに進めたい思惑が透ける。ただ、自民党憲法9条の改正を首相が訴えているほか、以前は憲法改正の発議要件を緩和するための憲法96条の改正を求めてもいた。それ自体、憲法99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」に抵触しているのではないか。
★さて、先ほどの解散権の議論だが、憲法衆議院解散について規定した条文としては第7条と第69条がある。また国会を開くための規定もいずれも国会法など各法の改正で整理できそうな内容だ。政治家は憲法につながる各法ももう少し学んでから発言すべきだし、議論を深めるべきだ。(K)※敬称略

憲法

前文

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。


第九十九条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


第七条
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

  1. 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
  2. 国会を召集すること。
  3. 衆議院を解散すること。
  4. 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
  5. 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
  6. 大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を認証すること。
  7. 栄典を授与すること。
  8. 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
  9. 外国の大使及び公使を接受すること。
  10. 儀式を行ふこと。

第六十九条
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

第九条

  1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。