「あってはならない」「日本のルール守って」 周辺住民ら憤り【米兵の飲酒死亡事故】 - 沖縄タイムス(2017年11月20日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/172570
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◆激しい衝撃、車体大破
19日早朝に那覇市の泊交差点で発生した21歳の米海兵隊員による酒気帯び運転事故で、会社員の男性の命が奪われた。乗っていた軽トラックはぺしゃんこにつぶれ、男性は意識不明の状態で搬送後、61歳で帰らぬ人となった。付近住民らは「あってはならない事故」「なぜ公務外で公用車が使えるのか」と憤った。
事故は交差点の中央で発生。南下車線に長いタイヤ痕が残り、周辺には細かいガラスの破片が散乱。衝突地点から40メートル近く離れた泊高橋の路上は、トラックから漏れ出たオイルでアスファルトが変色していた。
県警交通指導課によると、衝突した2台は2車線をまたぐようにして停車。捜査関係者は「強い衝撃だった可能性がある」と指摘し、目撃情報などから裏付けを進めるとしている。
男性の遺体は午後1時15分、那覇署の安置所から黒のワゴン車に移され、遺族と共に署を後にした。署員らは下を向き、静かに男性を見送った。
署の敷地内に置かれた男性の軽トラックは原形をとどめないほどに大破し、衝突の激しさを物語る。左前輪はひしゃげ、ダッシュボード部分には血痕が付いていた。米軍の2トントラックはバンパーが外れ、フロントガラスの全体に亀裂が走っていた。
現場から約50メートル離れた民家に住む女性(70)は午前5時半ごろ、「バーン」という衝撃音で目が覚めた。パトカーや救急車が集まる音が聞こえたが、怖くて家を出なかったという。「まさか米軍関係者の事故だったとは。しかも飲酒運転だったとニュースで聞き、いたたまれない。沖縄にいるなら日本のルールを守ってもらいたい」と憤った。
現場近くのビルで働く男性(35)は発生から約1時間後の午前7時前に出勤し、事故を知った。交差点は北から南へ下り坂となっており、早朝はすいているためスピードを出す車が多いという。「飲酒運転をするのは米軍人ばかりではないが、飲酒運転はだめだという意識が低いのではないか。軍内の教育を徹底してほしい」と話した。

交差点近くの事務所で宿直勤務をしていた男性(71)は、事務所近くにトラックのミラーらしき破片が散乱しているのを発見。「被害車両はぺしゃんこだった。相当なスピードでぶつけられたのでは」と推察した。
沖縄戦犠牲者の遺骨収集活動をしている「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は偶然現場を通り掛かり、事故を知った。「無念だ。公務外の米兵が、なぜ米軍車両を運転しているのか」と述べ、現場に手を合わせた。

◆なぜ公用車? 米軍答えず

海兵隊員が飲酒運転で死亡事故を起こした問題で、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は19日、「遺憾と哀悼の意」を発表した一方、飲酒の有無や公務外にもかかわらず米軍車両を運転していた理由、リバティー制度に違反しているかなどに関する本紙の照会に、米軍は回答していない。
海兵隊は事実の把握に向け日本の捜査当局と協力しているとし、「再発防止を講じる」とした。ただ「現在捜査中で、追加で提供できる情報はない」としている。