<金口木舌>世界は広い - 琉球新報(2017年11月12日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-612290.html
http://archive.is/2017.11.12-012212/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-612290.html

女子生徒の髪はまゆより上で肩に付かない長さ、男子は丸刈り。靴下はラインが入ったりワンポイントの模様が入ったりしては駄目で必ず白。約30年前の中学時代の校則だ

▼折り曲げれば、ばれないと思い、白地に1カ所マークの入った靴下をはいていったことがある。生徒指導の先生に見つかり、職員室に呼び出され、靴下をはさみで切られた
▼反抗期だったこともあり、反省より反発の方が強かった。当時、そのような生徒指導は当たり前だった。今は靴下もかばんも自由で、男子の丸刈り規定もない。校則はだいぶ緩くなった
▼そう思っていたが、大阪の高校で地毛が茶髪の女子生徒に対し、黒く染めるよう学校側が染髪を強要していたことが明るみになった。生徒は「指導の名の下のいじめだ」とし、慰謝料などを求め学校を提訴した
▼高校時代、留学したオーストラリアでは制服はあったが、厳しい校則はなかった。スカート丈が短かろうが長かろうが本人の自由。ピアスも化粧もあり。そもそもベトナム系、イタリア系、アフリカ系などさまざまな人種の人がクラスにいた。当然、人を外見では判断しない
▼当たり前だと思っていた常識が、外の世界から見ると、くだらない場合がある。世界は広いと知れば「あるべき姿」にとらわれることもなくなる。生きづらいと思うとき、視点を変えれば気が楽になることもある。