(「森友」検査院が疑義)臨時国会開き解明せよ - 沖縄タイムズ(2017年10月27日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/162395
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学校法人「森友学園」に大阪府の国有地が、約8億円も値引きされ売却された問題を巡り、売却額の妥当性を調べている会計検査院が、値引き額は最大6億円過大だったと試算していることが明らかになった。
安倍晋三首相の昭恵夫人と近い人が優遇されたのではないか。官僚による「忖度(そんたく)」によって、行政の公平・公正性がゆがめられたのではないか。そんな疑惑が噴き出したが、政府があいまいな説明に終始し、解明を怠ってきた問題である。
税金の無駄遣いをチェックする検査院が、値引きの「根拠」とされた土地内のごみ撤去費の積算を、おかしいと関係省庁に突き付ける見通しだ。検査院は年内にも指摘内容を公表するが、調査が示す意味は非常に重い。
ごみ撤去費の単価や、国と学園側とのやりとりの文書について、政府側は「廃棄した」と押し通し、検証を阻んできた。検査院は関連文書の管理にも問題があったとして調査を進めている。売却に関わった財務省国土交通省の責任は、改めて厳しく問われてしかるべきだ。
「森友・加計(かけ)」問題を巡る国民の不信、疑念は依然、深い。9月の共同通信世論調査では、79%が政府の説明に納得していない。衆院選終盤のトレンド調査でも内閣不支持率は44・1%で、拮抗(きっこう)したが支持率を上回った。同問題で落ちた支持率は回復しておらず、選挙で自民党が大勝したからといって、疑惑がリセットされたと受け止めるのは見当違いである。 

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「森友・加計」問題では国会軽視も甚だしく、「丁寧な説明」を約束しながら、実行されてこなかった。
首相は通常国会後の6月、「真摯(しんし)に説明責任を果たす」と話した。しかし、同月に野党が問題の解明を目指して、臨時国会の召集を求めたが、3カ月もたなざらしにしたあげく、9月末にようやく開いた臨時国会では、一切の審議を拒んで、冒頭で衆院を解散した。国会議員の一定数の要求があれば、内閣は国会を召集しなければならないと定める憲法をも軽視した。
選挙中も街頭演説ではほとんど触れず、丁寧な説明はなされなかった。
選挙後には「これからも国会で質問いただければ丁寧にお答えさせていただきたい」「国会審議をすべてご覧になった方には、かなりご理解をいただけたものと思っている」とも開き直り、世間とは異なる認識を示している。

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検査院の調査内容で、疑惑は一層深まった。だが、11月1日からの特別国会では、首相指名などだけで閉じる段取りが政府・与党内で取り沙汰されている。野党側が実質審議を求めるのは当然だ。政府・与党は要求に応じて徹底解明を図るべきである。
首相の外交日程や予算編成、税制改正などがあり、年明けの通常国会まで審議の場が設けられない可能性もある。
首相の政治姿勢をただすためにも、特別・臨時国会での質疑は必要だ。首相も自ら、臨時国会召集を決めて、説明を尽くさなければならない。