(回り回って)小選挙区比例代表並立制で衆院選が行われるようになって20年余。「死に票」の問題もある。そろそろ点検が必要ではないか - 北海道新聞(2017年10月26日)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/140988
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制度上そうなっている―。と言われてしまえば納得せざるを得ないが、釈然としない思いの有権者もいるだろう。
先の衆院選比例代表東海ブロックで、立憲民主党の候補が足りなくなり、議席自民党に譲り渡す結果となった。5議席分の票を獲得したが、名簿に載っているのは小選挙区との重複5人を含む計6人のみ。うち2人は小選挙区で当選したため、比例単独1人を含めても1人分が宙に浮いてしまい、それが自民党に割り当てられた。
異例ではあるが、初めてではない。自民党が大勝した2005年の「郵政選挙」では、東京ブロックで自民党の名簿登載者が足りず、1議席分が社民党に回った。民主党が政権を獲得した09年にも、近畿ブロックで民主党が2議席分を他党に譲っている。
ただ、この2例はいずれも自民、民主という選挙の勝者が譲り渡す形だった。今回は、議席を「損」したのが追加公認を含めても55議席立憲民主党である。
その行き先は300に近い当選者を出した自民党だ。政権に批判的な立場で立憲民主党に投じた有権者は、キツネかタヌキに化かされたような気分かもしれない。
道ブロックでも選挙前、比例単独が1人の立憲民主党で同様のケースが起こりかねないとの見方があった。小選挙区比例代表並立制衆院選が行われるようになって20年余。「死に票」の問題もある。そろそろ点検が必要ではないか。2017・10・26