<有権者発>小選挙区 問題点は 得票率48%で3/4占有 - 東京新聞(2017年10月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017102402000127.html
https://megalodon.jp/2017-1024-0941-57/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017102402000127.html

今回の「有権者発」のテーマは、衆院選挙制度です。衆院選の結果を受けて「多くの有権者は安倍政権を支持していないのに、自民党が今回の衆院選で勝った。小選挙区制度に問題がある」との指摘を受けました。
本紙の集計で、自民党小選挙区での得票率(有効投票総数に占める自民党候補全員の得票総数)は約48%でした。それなのに、小選挙区議席占有率は約74%です。自民党には、小選挙区に投票した人の二人に一人しか入れていないのに、四分の三の議席を獲得した計算になります。
今回の投票率は戦後二番目に低い53・68%。有権者のうち半分近くの人は投票に行きませんでした。このため、全ての有権者のうち、何割の人が自民党に投票したのかをみる絶対得票率を計算すると約25%。自民党には有権者四人のうち一人しか投票しなかったことになります。
二〇一四年の衆院選でも、自民党は大勝しましたが、小選挙区で得票率は約48%、議席占有率は約75%でした。
〇九年に当時の民主党政権交代を実現した時の衆院選では、小選挙区の得票率は約47%、議席占有率は約74%と同じ傾向でした。
現行の小選挙区比例代表並立制が導入されたのは、一九九六年です。少ない得票で高い議席占有率を得られ、投票が議席に反映されない「死に票」が多いといった弊害が指摘されてきました。
国会には小政党を中心に選挙制度を見直すべきだとの意見もありますが、実現しそうにありません。有権者選挙制度の特徴を踏まえ、投票で意思表示する必要があります。 (城島建治)