(衆院選 沖縄選挙区)反辺野古 民意揺るがず - 沖縄タイムズ(2017年10月23日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159916
https://megalodon.jp/2017-1023-0929-43/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/159916

第48回衆院選は22日、投開票された。希望の党の突然の旗揚げと失速、民進党の合流と分裂。振りかえってみればそれがすべてだった。
今回ほど政治家と政党に対する不信感が広がった国政選挙はない。その責任は重大である。
自民党が圧勝した全国と比べ、県内の選挙結果は対照的だ。
名護市辺野古沿岸部への新基地建設に反対する「オール沖縄」の候補が1、2、3区で比例復活組の自民前職を振り切った。
前回2014年の衆院選に続く「オール沖縄」の勝利は、安倍政権の基地政策や強引な国会運営に対する批判にとどまらない。
不公平な扱いに対する強烈な異義申し立てが広く県民の間に共有されていることを物語っている。
とりわけ象徴的なのは、大票田の那覇市を抱える1区は、共産前職の赤嶺政賢氏(69)が接戦の末に自民、維新の前職らを制したことだ。
共産党候補が小選挙区で当選したのは全国で沖縄1区だけである。
翁長雄志知事のお膝元での勝利は知事の求心力を高めることになるだろう。

■    ■

1区の選挙情勢は、赤嶺氏にとっては、マイナスの要素が多かった。
高齢者に比べ若者には基地容認の傾向があること、保守層の中に根強い共産党アレルギーが存在すること、「オール沖縄」の一翼を担ってきた那覇市議会の新風会が割れたこと、などである。
1月の宮古島市、2月の浦添市、4月のうるま市の市長選で「オール沖縄」系候補が立て続けに敗れたことも、退潮傾向を印象づけた。
マイナスの要素を抱えながら、「オール沖縄」が1、2、3区の議席を死守することができたのはなぜか。
普天間飛行場など多くの米軍基地を抱える2区では、社民前職のベテラン照屋寛徳氏(72)が早々と当選を決め、北部の演習場が集中する3区では、無所属前職の玉城デニー氏(58)が当確を決めた。

いずれも危なげない勝利だった。
名護市安部で起きたMV22オスプレイの大破事故と、東村高江で起きた米軍ヘリCH53Eの炎上事故は、いずれも民間地で発生した「クラスA」の重大事故だった。
沖縄ではヘリ事故はどこでも起こりうる、という現実が浮き彫りにされたのである。
安倍晋三首相は、北部訓練場の約半分の返還を負担軽減の大きな成果だと主張するが、住民の苦境を考慮しない一面的な見方である。

 訓練場の「不要な土地」を返還する条件として、東村高江の集落を取り囲むように、6カ所のヘリパッドが建設された。周辺住民からすれば基地被害の増大にほかならないのである。

■    ■

県議会は高江周辺のヘリパッドの使用禁止を全会一致で決議した。当選した議員は、県議会とも共同歩調を取って政府と米軍に働きかけてほしい。
大事なことは、選挙公約を選挙の時だけの話に終わらせないこと、選挙で公約したことを軽々に破らないことだ。
台風21号の影響で一部離島から投票箱を開票所まで移送することができなくなり、うるま市南城市座間味村の3市村は開票作業を23日に持ち越した。

異例の事態である。
公職選挙法第65条は「開票は、すべての投票箱の送致を受けた日、またはその翌日に行う」と規定している。
うるま市津堅島南城市の久高島、座間味村阿嘉島慶留間島で投票箱の移送が不可能になったことから、これら3市村の開票作業が翌日に延びたというわけだ。
4区は無所属前職の仲里利信氏(80)と自民前職の西銘恒三郎氏(63)が激しく争っている。
大票田の南城市の開票作業が翌日に延びたため、午前零時半になっても当落の判定ができない、という事態が生じてしまった。
台風への対応が適切だったかどうか、県選挙管理委員会をまじえて早急に対応を検証し、台風マニュアルを整備してもらいたい。