<10代が選ぶ衆院選>スマホで「どんな人?」 授業、サークル…忙しい合間に - 東京新聞(2017年10月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017101902000132.html
https://megalodon.jp/2017-1019-1427-41/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017101902000132.html

衆院選が公示された十日、初めて国政選挙の投票に臨む十八、十九歳の五人に、東京都内各所で主な政党の党首クラスの街頭演説をじかに聞いてもらった。その後、間近に迫った投票日に向けて、どのように判断材料の情報を集め、投票先を絞り込んでいるのだろうか。 (原尚子、柏崎智子)
五人は中央大一年の富沢遥子(ようこ)さん(18)、堀暁生(こうき)さん(19)、風間紫緒(しお)さん(18)、専修大一年の林野乃子(ののこ)さん(19)、中央大学杉並高校三年の釘本(くぎもと)勇気さん(18)。
この一週間、それぞれ授業、サークル、アルバイトで忙しく、街頭演説は聴きに行けなかった。堀さん、林さん、釘本さんは、通学電車の中など空いた時間にスマートフォンで選挙情報を収集。富沢さん、風間さんはテレビの選挙関連ニュースを積極的に見た。
自分の選挙区の候補者全員のツイッターを確認した堀さんは「演説の動画もあり分かりやすかった」と参考になった様子。釘本さんは「街頭演説は熱気や思いが伝わってきたけど、文字で読むと、サラッと流してしまう」と物足りなく感じ、インターネット番組の各党首の演説を視聴した。「部屋で流しっぱなしにできて便利です」
■注目する政策
政策では三人が消費税増税に注目。「今のうちに増税して社会保障の財源を確保し、将来の国の借金を減らしてほしい」と賛成する堀さんに対し、富沢さん、風間さんは「日々の生活に影響が大きい」と反対だ。
富沢さんは「北朝鮮問題やアベノミクスも大事だけど、将来を考えると、産休・育休制度やパワハラ、マタハラ対策が本当に大切。就職活動で『二十代で結婚して子どもを産みたい』と面接官に言っても落とされない社会にしてほしい」と注文する。大学でジェンダー問題の授業を受ける風間さんも「女性政策をもっと打ち出してくれる政党があれば投票したいのに」。
■どう絞り込む?
現時点で、投票先をほぼ決めたのは三人。このうち、堀さんは「減点法で選んだ」。政党の政策を見比べて、「自分の考えと合わない政党を落としていった」と語る。ただ、残した政党に対し「すべてに賛成ではない。核のごみの最終処分場も決まらず原発を再稼働するのは未来へツケを回す行為だからやめてほしい。改憲は、戦争できるように変えるほどばかじゃないと信じたい」と注文する。
決めかねている風間さんは「各党の政策を読んでも、違いが分かりづらい。投票権があるのは実家のある茨城県なので、誰が候補者かまで調べられていない」と戸惑う。学費の足しにするため週四日アルバイトをする林さんは、各党が打ち出す給付型奨学金の拡充や授業料の減免が気になる。「すぐ実現してほしいが、どの党も財源などの実現性が不安で、決め手に欠く」
林さんは「私たちは子どもだからごまかされやすいのかも。でも、選挙結果に一番影響を受けるのは、若い世代の私たち。真剣に選びたい」と見据えた。