教員の長時間勤務改善 必要な仕事の絞り込みを - 毎日新聞(2017年10月16日)

https://mainichi.jp/articles/20171016/ddm/005/070/077000c
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教員が本業である授業に専念できるようにする改革が必要だ。
中央教育審議会の特別部会が、教員の働き方を早急に改革するよう求める緊急提言をまとめた。
タイムカードやICT(情報通信技術)を使った勤務時間把握や学校への留守番電話設置、部活動の休養日設定などを例示した。「今できること」はすぐに実行するよう文部科学省教育委員会に求めている。
文科省の調査によると、公立小中学校の教員の勤務時間は、1日あたり11時間を超えている。小学校で約3割、中学では約6割の教員が「過労死ライン」に達する週60時間以上の勤務をしている。
だが「残業代」は出ない。その分、法律で基本給の4%を上乗せした額が一律支給されている。子供を育てる仕事の性質から、勤務の明確な線引きが難しいためだ。
コストを気にせず仕事をさせられる環境が、長時間勤務を助長しているという指摘は絶えない。
「教員の仕事には切れ目がない」という学校文化があり、勤務時間管理の意識は希薄だ。校長らが目視などで退勤時刻を確認している小中学校が6割、何もしていない学校が1割を占めている。タイムカードやICTの導入は、管理職の意識改革を促す点でも有効だろう。
長時間勤務は、教育の質にも影響を及ぼしかねない。
経済協力開発機構OECD)の調査では、日本の教員の勤務時間は加盟国の平均よりも年間で200時間長い。しかし、そのうち授業に占める割合は3〜4割と、平均を下回っている。部活動指導や事務作業、会議が多いことが理由だ。
時間管理のみならず、中学校での長時間勤務の主因といわれる部活動の対応も重要だ。休養日を設けたり、外部指導員の力を借りたりすることも積極的に進めるべきだろう。
教員増とともに、事務をサポートするスタッフやスクールカウンセラーの増員、いじめ問題などで助言する学校弁護士の配置も充実させたい。教員が抱え込む仕事の分担だ。
2020年度からは小学校で英語が教科になり、授業時間もさらに増える。子供たちに質の高い授業をするためにも、必要な仕事を絞り込むことが何より重要だ。