<森友・加計問題>衆院解散、官僚もホッ 国会追及逃れ - 毎日新聞(2017年10月7日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171007-00000075-mai-soci
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森友学園加計学園の問題で、衆院解散・総選挙によって渦中の省庁に安堵(あんど)感が漂っている。6月の通常国会閉会後に新たな問題も浮上したが、先月の臨時国会は審議のないまま冒頭解散となり、野党の追及を逃れた格好だ。東京都の小池百合子知事による新党結成を機に世論の関心が政界再編に傾いているようにも見えるが、識者は「国民は忘れていない」とくぎを刺す。
■加計問題
臨時国会で答弁の準備をしなくていいので、仕事量が格段に減る」。加計学園獣医学部新設の認可を担う文部科学省で、幹部の一人は衆院解散を歓迎した。国家戦略特区に指定された愛媛県今治市での学部新設について、内閣府文科省に「総理のご意向」と迫ったことを記した内部文書の存在が5月に発覚して以降、国会対応に追われていたからだ。別の職員も「答弁づくりは大変。ほっとしている職員はたくさんいる」と明かした。
だが、通常国会閉会後も疑問は深まった。7月24日の衆院予算委員会の閉会中審査で、安倍晋三首相は学園の獣医学部の計画を知った時期を問われ、突然「今年1月20日」と主張。過去の答弁と矛盾するうえ、学園の理事長を「腹心の友」と呼ぶ首相が、獣医学部新設の事業者に加計学園が認定される当日まで計画を知らなかったことになる。不自然さは拭えず、野党は理事長の国会招致を求めている。
今月6日には市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表が山口県庁で記者会見し、解散・総選挙について「加計隠しだ」と批判。首相の地元・山口4区から無所属で出馬し、真相究明を訴える考えを明らかにした。
■森友問題
「国会で『捜査中』って答えていたら、持たなかったかもしれない」。財務省の職員はほっとした様子を見せた。森友学園への国有地売却を巡り、約8億2000万円を値引きした経緯の不透明さが問題視され、国会閉会中も野党が説明を要求。財務省は「捜査中でコメントできない」との姿勢を崩していないが、国民が注視する国会で同じ言葉を繰り返せば厳しい世論の批判を招きかねなかった。
この取引を巡っては、財務局の担当者が昨年5月、学園側に売却額の見通しを伝えていたとされる音声データの存在が今年8月に発覚。国会で3月、当時の佐川宣寿理財局長(現国税庁長官)が「価格を事前に相手に伝えることはない」と説明した答弁と矛盾することになる。解散で野党は追及の舞台を奪われた格好だが、会計検査院も問題がなかったか調べている。政府関係者は「これで終わりとはいかない。選挙で問題が消えるわけではない」と語った。【杉本修作、伊澤拓也】

◇国民は忘れない
文科省大臣官房審議官の寺脇研・京都造形芸術大教授の話 文科省財務省の中で国会審議がなくなってほっとしている官僚がいるとしたら情けない。今も二つの問題の真相解明を求める動きが全国各地で起きている。選挙が終われば忘れられるという考えは国民をバカにしている。疑惑が解明されるまで収束することはないだろう。