(政界地獄耳)衆院選で核廃絶は争点にならないのか - 日刊スポーツ(2017年10月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710100000182.html
http://archive.is/2017.10.10-014722/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710100000182.html

核兵器禁止条約の成立に主導的役割を果たしたNGOネットワーク「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞について、外務省は8日夜、受賞から2日遅れで「日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している。国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることを喜ばしく思う」とした外務報道官・丸山則夫の談話を発表した。
★なぜこの一言を言うのに、被爆国の外務省は2日もかかるのか。7日付毎日新聞には、ICANの国際運営委員で「ピースボート」共同代表・川崎哲(あきら)がインタビューに応じ、日本での衆院選に触れ、「各政党がどのような政策をとるか、しっかり議論してほしい」と、核廃絶に向けた議論が争点にならないことを憂う。「広島、長崎(への原爆投下)や被爆者の方々と、重ねて感じる人が多いと思う。被爆国の役割についても考えてもらいたい」。8日の党首討論で首相・安倍晋三北朝鮮への対応を問われ、「北朝鮮は核を保有している。核保有国だ」とした。これは9月13日の官房長官菅義偉の「北朝鮮が核保有国であるという前提は、受け入れることができない」との説明と齟齬(そご)がある。
核廃絶外交政策ではなく、この国の世界へ向けた目標と信念だ。そういう立場を取り続けるという国是であるといってもいい。だが外交政策上の都合がそうさせないのだろう。平和を希求することとリアルな安全保障は、相いれないと思っている政治家が多い。平和を求めることは現実的ではないのか。その根本的な価値観が今の時代に問われているにもかかわらず、この国の選挙は保守かリベラルかに選別されるだけだ。政治が問題提起せずとも、有権者は見ているはずだ。(K)※敬称略