規制委 柏崎刈羽、審査「合格」 東電の原発で事故後初 - 毎日新聞(2017年10月4日)

https://mainichi.jp/articles/20171004/k00/00e/040/265000c
http://archive.is/2017.10.04-045050/https://mainichi.jp/articles/20171004/k00/00e/040/265000c

原子力規制委員会は4日の定例会で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県、ともに135.6万キロワット)が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承した。審査書案は事実上の「合格証」で、福島第1原発事故を起こした東電の原発が合格するのは初めて。福島第1原発と同じタイプの沸騰水型としても初の合格となる。
国民からの意見募集(30日間)や経済産業相らからの意見聴取を経て、今冬にも正式に審査合格となる見込み。一方、新潟県米山隆一知事は第1原発事故の検証を優先する方針で「検証には3、4年かかる」と述べており、再稼働時期は見通せない。
先月27日の定例会で事務局の原子力規制庁が審査書案を提示し、5人の委員で議論を続けていた。審査書案によると、東電は設計上想定する地震の最大の揺れを1209ガル(ガルは加速度の単位)、津波の高さを海抜8.3メートルとして安全対策を取った。
また、これまでに審査に合格した加圧水型原発と比べ、沸騰水型は原子炉格納容器の容積が小さく、事故時に内圧が高まって破損しやすい特徴がある。東電は事故時に放射性物質を除去して空気を逃がすことができる「フィルター付きベント(排気)装置」や、予備の循環冷却システムを新設するとした。審査書案ではこうした東電の安全対策を有効と認めた。
東電は2013年9月に6、7号機の審査を申請した。規制委は東電が重大事故を起こした当事者であることを重視。審査終盤、通常の技術的審査の前提として、原子力事業者の適格性を見極める異例の対応を取った。原発の安全性向上や福島第1原発廃炉に主体的に取り組む姿勢を、原発の運転手順を定める保安規定に明記することなどを条件に、適格性を認めることを決めた。東電は今後、こうした内容を盛り込んだ保安規定を作成する。【鈴木理之】