官邸主導で急ごしらえ=自民公約、党内反発も−衆院選 - 時事ドットコム(2017年9月23日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017092300554&g=pol
http://archive.is/2017.09.24-005529/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170923-00000109-jij-pol

自民党が10月の衆院選で掲げる政権公約は、安倍晋三首相の意向を反映し、高齢者中心から現役世代を重視する「全世代型社会保障」への転換など重点5項目を打ち出す方針だ。だが、公約づくりは官邸主導の急ごしらえで、党内議論の積み重ねを軽視するような手法に反発も出ている。
教育無償化など全世代型社会保障の財源は、2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げ分。12年の旧民主党と自民、公明両党による3党合意は、5%から10%に上げた際の増収分のうち約2割を社会保障の充実に、残りの約8割を借金返済など財政再建に充てることにしており、首相は25日の記者会見で、増収分の使途を変更する理由を説明する。
しかし、増収分を子育て支援や教育無償化に回せば、高齢者福祉が割を食うことになる。19日の党会合では「(過去の)公約の重要な変更は党内で議論してもらわないと困る」などの意見が相次いだ。厚労族の重鎮、丹羽雄哉元厚生相は記者団に「高齢化社会を迎えて不安になってくる。それに応えずに思い付きでやってもらっては困る」と首相を批判した。
使途変更で借金返済に回す分が減ると、財政健全化が遠のく恐れもある。党税制調査会の幹部は「ポピュリズム大衆迎合主義)の極みだ。これ以上借金を増やしてどうする」と吐き捨てるように語った。
5項目のうち、憲法改正についても異論が出ている。首相は9条の1、2項を維持し自衛隊の根拠規定を追加する案を提起した。石破茂元幹事長らは2項を削除して「国防軍」創設を明記した12年の党改憲草案を重視する立場から反発しており、公約への条文案の記載は見送られる方向だ。
5項目については当初、政府サイドから情報が流れ、岸田文雄政調会長は周辺に「聞いていないから困っている」と語っていた。こうした手法も「官邸が公約をつくるのか」(政調幹部)と、火に油を注いでいる。
ただ、10月22日と想定される投開票日まで1カ月を切っており、不満を示す議員も自身の選挙に取りかからなければいけない。二階俊博幹事長は23日、和歌山市内で記者団に「すぐまとまる。われわれの党のまとまり具合を見ていてもらったら分かる」と意見集約に自信を示した。