浮遊する海月のように基地迫る 横須賀で「平和の俳句」吟行会 - 東京新聞(2017年9月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017091902000113.html
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浮遊する海月(くらげ)のように基地迫る−。神奈川県横須賀市平和運動に携わる市民ら七人が、本紙一面に毎日掲載されている「平和の俳句」にちなんだ吟行会を始めた。横須賀は、米海軍基地だけでなく、海上自衛隊総監部もある「基地の街」。参加者は「平和の俳句の題材は有り余るほどある。今後も続けていきたい」と思いを語る。
吟行会は、市民団体「原子力空母の母港化を阻止する三浦半島連絡会」の新倉泰雄さん(65)と加藤泰久さん(58)が企画。「平和の俳句」で新倉さんは四回、加藤さんは一回掲載されたことがある。日ごろデモ活動で出会う仲間にも、いつもと違う角度から平和を考えてもらおうと呼び掛けた。
初回は十七日、台風が近づき、雨が降る中で敢行。記念艦三笠のある三笠公園や米海軍横須賀基地前の飲食街「どぶ板通り」を経て、海自の艦船が見えるヴェルニー公園まで約二キロのコースを歩いた。
参加者は、波に揺られる艦船や、米兵向けに英語で書かれた看板などを眺め、気になった光景をノートなどにメモ。三句ずつ作り、ほかの参加者の良いと思った作品を五句ずつ選び、批評し合った。
冒頭の「浮遊する−」は一級建築士の斎藤五月晴(いつはる)さん(69)の作。「クラゲは毒を持っている。毒と基地という組み合わせがおもしろい」などの理由で四票を獲得した。日露戦争で三笠に「皇国ノ興廃此(こ)ノ一戦ニ在(あ)リ…」の意味で掲げられたZ旗にちなみ、「初句会Z旗畳めと秋の雨」と詠んだ「非核市民宣言運動・ヨコスカ」の新倉裕史さん(69)も同点で並んだ。
最近は、北朝鮮の核・ミサイル実験が相次ぎ、軍事的な緊張感が高まっている。主催した加藤さんは「吟行ができるのも平和あってこそ。ぜひ恒例化したい」と意欲を見せた。 (福田真悟)