「虐殺の史実を伝えて」 都知事追悼文中止、作家ら抗議声明 - 東京新聞(2017年9月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017091602000131.html
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東京都の小池百合子知事が関東大震災朝鮮人虐殺犠牲者追悼式に追悼文送付を中止した決定に対し、作家や歌手、研究者ら二十一人が十五日、抗議声明を発表した。「史実を隠ぺいし歪曲(わいきょく)しようとする動きにお墨付きを与えてしまうのではないか」と訴えた。
声明の賛同人には作家の平野啓一郎さんや島田雅彦さん、朝鮮人虐殺を題材にした歌を自作したフォーク歌手の中川五郎さんらが名を連ねている。
声明は「民族差別が暴力として爆発した九十四年前の朝鮮人虐殺は、多民族都市・東京のいわば負の原点」と指摘。「東京の多様性をさらに豊かさへと育てていくためには、民族をはじめとする差別が特定のマイノリティー集団に向けられる現実を克服していく必要がある」と主張した。
さらに、小池氏に対して「不当に生命を奪われた隣人たちを悼み、それを繰り返さないという思いを手放さないでください。未来の世代に教訓として伝えていくべきだと、声を届けてください」と要望した。
歴代都知事は、市民団体が毎年九月一日に都立公園で営む追悼式に追悼文を出してきたが、小池氏は今年の送付を断った。