総務省への請求 漏えいか 下村元文科相事務所の日報に記載 - 東京新聞(2017年8月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017082502000127.html
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下村博文(はくぶん)・元文部科学相の政治資金に関する情報公開請求があった二〇一四年十月当時、下村氏の事務所日報に「菅(すが)官房長官 大臣秘書官より 一昨日、マスコミから総務省に開示要求が入りました」と記載されていることが分かった。開示請求の二日後の十月二十三日付の日報で、本紙は週刊文春を通じ、印字された日報データを入手した。当時、日刊ゲンダイの記者が文科相だった下村氏はじめ、全閣僚の政治資金管理団体の少額領収書の公開請求をしており、総務省側から請求情報が漏えいした可能性がある。 (望月衣塑子)
少額領収書は各政治団体が保管し、総務省都道府県選管に情報公開請求があると、政治家側は、同省などに写しを提出する仕組みになっている。日報には、菅義偉(よしひで)氏の秘書官から「総務省より、少額領収書の開示要求がきます。それが届いたら、二十日までの期日を、三十日まで必ず延長してください」「この連絡は厳秘!」という連絡があったと記載されている。
政治資金規正法によると、開示命令を総務省から受けた場合、原則二十日以内に情報開示することを求めている。延長が認められるのは、選挙時や大量に領収書がある時など、事務処理上困難な場合に限るとされている。
ゲンダイによると、総務省の開示は何度も延長され、全閣僚分が開示されたのは開示請求から九カ月後の一五年七月二十三日だった。
下村氏は今年六月末、学校法人「加計(かけ)学園」側の陳情状況などが日報に記載されていたとする週刊文春の報道を受けて会見し、「日報がデジタルデータで漏えいした」と述べていた。今回の日報について、下村氏の事務所からは、これまで取材への回答はなかった。
下村氏の事務所関係者は本紙の取材に、日報は下村氏の秘書が作成したと認めたうえで、「政治資金に関する開示請求者の情報は、よく事務所に伝わっていた。なんらかの経路で、総務省から漏えいしているのではないか」と指摘する。
ゲンダイ側は「当時、公開請求したことを外部に漏らしたことは一切ない。政治資金に関するあらゆる情報は誰もが即時に見られるようにすべきだ」としている。
一方、菅氏は七月十三日の会見で「秘書官は(開示請求の)情報は入手していないと言っている。日報に書かれているような指示もしていない」と否定。総務省は「(外部に)教えることはあり得ない」と説明する。
政治活動に関する情報公開を巡っては、昨年十月に請求者情報を漏らした富山市職員が懲戒処分を受けた例もある。政治資金規正法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は「秘匿されるべき開示請求者の情報を、官房長官側が総務省から得て、かつ、それを元に違法な運用を指示したとすれば大問題だ」と話す。