横浜市、小学校道徳教科書は学校図書を採択 - きょういくブログ(2017年8月2日)

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横浜市教育委員会は8月2日の教育委員会会議で小学校道徳教科書の採択をおこない、学校図書を採択することを決めた。
横浜市は、2011年・15年の2度にわたり育鵬社の中学校社会科教科書が採択されたことや、横浜市の地理や自然・郷土史など市に関する内容を伝えるために市教委が発行して中学生に配布している副読本の「関東大震災の際に朝鮮人虐殺があった」とする記述に右派議員からクレームが付いて記述が変更させられるなど、歴史修正主義勢力による教育の右傾化策動が激しくおこなわれてきた地域のひとつでもある。
2017年の教科書採択は、小学校道徳が「特別の教科」に移行することに伴い、道徳教科書を新規に選定するものとなっている。他教科については2014年度に採択し15年度以降使用しているものを引き続き使用する。
小学校道徳教科書については、教育出版の教科書が極めて異質の内容だと指摘され、警戒されている。中学校社会科での育鵬社教科書執筆陣の母体となる「日本教育再生機構」につながる執筆陣は、小学校道徳教科書については育鵬社からではなく、教育出版から発行をおこなっている。教育出版の道徳教科書で取り上げられている教材の内容は、日本教育再生機構やその背景にいる日本会議の極右思想を反映した道徳の押しつけになっているとする批判が出て、警戒されている。
横浜市では2011年・15年の2回連続で中学校社会科で育鵬社教科書が採択された背景があり、今回の道徳教科書採択についても特に強い警戒がされていた地域のひとつである。
採択を決定した教育委員会会議では、傍聴人数は制限され、あふれた人は別室での音声のみでの中継など、傍聴という観点からは十分な対応ではなかったという。
教育委員会での審議では、東京書籍と学校図書が3票ずつで同数となり、教育長裁定で学校図書の採択が決まった。教育出版を推した教育委員はいなかった様子である。
ひとまずはほっとした。その一方で、2015年に育鵬社教科書を採択し、首長や教育委員の姿勢などから要警戒の地域は、東京都や大阪府・石川県・愛媛県山口県などにいくつかある。それらの地域についても、動向を注視していかなければならない。