朝鮮学校無償化の除外「違法」 行政の過度な介入にくぎ - 東京新聞(2017年7月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017072902000126.html
http://megalodon.jp/2017-0729-1000-36/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017072902000126.html


朝鮮学校が高校無償化制度の対象かが争われた訴訟で、大阪朝鮮学園側の請求を全て認めた二十八日の大阪地裁判決は、原告側の全面敗訴とした広島地裁と正反対の結論となった。「学校の適正運営」という無償化の適用要件に関する国の判断の裁量権を限定的に解釈し、行政の過度な介入にくぎを刺した内容が今後の同種訴訟の行方にどう影響するか注目される。
今月十九日の広島地裁判決は、広島朝鮮学園(広島市)が在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)の強力な指導下にあるとした過去の民事訴訟の判決や公安調査庁の報告などを基に、生徒の授業料として学校に支払われる就学支援金の流用に対する懸念を示した国の主張を追認。無償化対象から除外した国の処分は裁量の範囲内で適法と結論付けた。
大阪地裁判決は朝鮮総連の関与を一定程度認めた上で「在日組織が民族教育を行う学校に援助する点が不自然とはいえない」と指摘し、「不当な支配」を疑わせる特段の事情の存在を認めなかった。国が適用要件の可否を判断するのは「教育に対する行政の過度な介入を容認することになりかねない」とし、司法による客観的判断では要件を満たすと認定した。
大阪朝鮮学園側の丹羽雅雄弁護団長は「教育の機会均等という高校無償化法の立法趣旨にのっとった適正な判決だ」と評価する。実質的な争点がほぼ共通する残り三件の同種訴訟にも「生徒の権利に主眼が置かれれば今回と同様に勝訴が続くだろう」と期待を込めた。