五輪選手村 都有地をデベロッパーに1200億円値引き 住民、8月中旬に提訴 - 田中龍作ジャーナル(2017年7月27日)

http://tanakaryusaku.jp/2017/07/00016381

森友学園への「国有地8億円値引き」が可愛く見える。東京都は晴海の都有地を相場よりも1,200億円も安くデベロッパー()に売却したのである。オリンピック・パラリンピックの選手村用地として、だ。

デベロッパ
「2020晴海cityグループ」(三井不動産レジデンシャルエヌ・ティ・ティ都市開発新日鉄興和不動産住友商事住友不動産大和ハウス工業東急不動産、東京建物、野村不動産三井物産三井不動産三菱地所三菱地所レジデンス)

オリパラが終わればデベロッパーは選手村を高層マンション群として相場で販売する。デベロッパーには1,200億円の差益が転がり込む。絵に描いたような「濡れ手で粟」だ。
自分たちの財産を叩き売られたのではたまったものではない。都民58人が東京都に対して監査請求を行ったが、19日、斥けられた。
都民たちは「本件売買は違法である」として8月中旬、損害賠償請求の訴訟を起こす。直接的な被告は小池百合子都知事だが、請求の趣旨は①小池知事は舛添要一前知事に損害賠償を請求せよ②小池知事はデベロッパーに損害賠償請求せよ。
監査請求などによると事件の概要はこうである―
東京都は2016年5月、晴海の都有地13.4ヘクタールを総額126億円でデベロッパーに譲渡する契約を締結した。
1㎡あたり9万6,700円という破格の安さだった。相場の10分の1である。
銀座から車でわずか10分の湾岸エリア。交通は至便だ。適正価格で件の土地を売却すれば1,340億円となる。都は1,214億円の損失を被ったのだ。
どうして議会はチェックできなかったのか? 都民は「公衆縦覧」ができなかったのか?
壮大なペテンの核心は、東京都が本件再開発を「一民間人」による「個人施行」にしたことである。個人の事業であるから公の判断を仰ぐ必要がないという理屈である。
事業者を公募したが、名乗りをあげたのは当該デベロッパーだけ。期間はわずか10日間だった。国家戦略特区の指定業者となった加計学園のケースとよく似ている。
「名ばかり公募」をして他社の参入を排除した。公共工事で原則とされている一般競争入札も行われなかった。議会の議決もない。
原告は上記が「官製談合防止法2条」「地方自治法第237条2項」「地方自治法234条」などに違反するとしている。
住民訴訟に詳しい弁護士は「これが まかり通る ようになったら、公共用地が業者に二足三文で投げ売られるようになる」と危機感を強める。
この事件ではさらに驚くことがある。東京都はデベロッパーが建てた高層マンションをオリパラ期間中、38億円で借りるというのだ。「泥棒に追い銭」としか言いようがない。
常識に背いても正当化され、違法行為が罪に問われない・・・「オリパラ狂奏曲」の前奏が始まったようだ。