http://toyokeizai.net/articles/-/178479
前代未聞の複雑な大事件
本書のスタンスが特徴的なのは、この事件が本当にこれほど騒がれるようなものであったのかという点から出発しているところだ。結局一連の殺害・爆破予告において、実行に移された犯行は1つもない。見方を変えれば、この事件は非常に質の悪い悪戯であったと言っても過言ではないのだ。それを前代未聞の複雑な大事件へと変貌していったのは、いくつかのターニングポイントにおいて、警察、メディア、社会による小さなボタンの掛け違いが毎度のように起こってしまったからである。そういった意味で、これはネットというアンコントーラブルな増幅装置の影響を抜きにしては、語りえない事件であった。
- 作者: 神保哲生
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/05/17
- メディア: 単行本
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