(政界地獄耳)崩壊自民 内閣改造まで持たない - 日刊スポーツ(2017年7月3日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1849489.html
http://archive.is/2017.07.03-021549/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1849489.html

★「都議選が荒れると政局に直結する」とは、2週間前の自民党幹部の言葉だ。それだけ結果を恐れていたものの、国会終了後に発覚した加計学園に関わるペーパーや疑惑に対して、野党4党は臨時国会召集を提案したが、首相・安倍晋三は拒否した。その間も魔の2回生と呼ばれる当選2回の自民党衆院議員・豊田真由子による秘書への暴行と暴言が発覚。さらには副総理兼財務相麻生太郎の「あれ女性ですよ」発言。都議選の応援で防衛相・稲田朋美による憲法15条、公選法136条、自衛隊法61条違反となる「防衛省自衛隊防衛大臣自民党としてもお願いしたい」発言とその後の対応も政権への打撃になった。
★しかし、官邸も自民党も事態の深刻さに気付いておらず、通常の強気の対応に終始した。「印象操作」「レッテル貼り」「何の問題もない」などすべてを否定し、思い通りに進めようとする強引さは国会の答弁でも記者会見でも続いた。自民党幹事長・二階俊博は先月29日、都議選の応援でミサイル発射実験などを続ける北朝鮮のことを差別用語を使い批判。翌日の応援演説で「言葉ひとつ間違えたらすぐ話になる。どういうつもりで書いているか知らないが、我々はお金を払って(新聞などを)買っている。そのことを忘れてはだめだ。落とすなら落としてみろ。マスコミが選挙を左右すると思ったら大間違いだ」とメディアを挑発した。
★麻生も引き継ぐように「ここにいるマスコミの人は言っているだけだから。責任はなんも取らんわけです、この人たちは。それは事実でしょうが。しかも、かなりの部分、情報が間違っている。間違いありませんよ、俺、書かれている方だからよくわかる。読んだらこれも違う、これも違うなと。たぶん他の人も違うんだ。そんなものにお金まで払って読むかと。結果として、新聞は部数が減っている。自分でまいた種じゃないか」。極め付きは都議選最終日に屋外の応援に出た首相がヤジに激高し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」だろう。
★もう幹部から若手まで、理性の歯止めが利かない。この10日余り、都議選期間の発言だけでも、自民党中枢は崩壊しているといえる。今日からメディアは、この高慢で不遜な政権に対して忖度(そんたく)する必要はない。国民にウソをつき続けごまかし続ける政権に対して、明確なNOを都民が突き付けたことを「一地方選挙」と片づけるのなら、本気で戦わなければなるまい。とはいえ新しい月に入り、メディア各社は今月の世論調査を行う。下落が続くようならば、内閣改造まで持つまい。自民党は新たな政権作りに動きださなければならなくなるだろう。(K)※敬称略

関連サイト)
二階氏、差別的表現使い北朝鮮非難 批判にいらだちも - 朝日新聞(2017年6月30日)

http://www.asahi.com/articles/ASK6Z4QY9K6ZUTFK00Z.html
https://megalodon.jp/2017-0630-2119-29/www.asahi.com/articles/ASK6Z4QY9K6ZUTFK00Z.html

自民党二階俊博幹事長が29日、東京都板橋区で行った都議選の応援演説で、北朝鮮弾道ミサイル発射を念頭に「もうこのごろは地元にもあまり帰れない。なぜかと言うと、よく変なものを打ち上げてくる気違いみたいな国があるでしょう」と述べた。精神障害者に対する差別的な表現を使ったため、二階氏は演説後、記者団に「表現として必ずしも適切でないものが一部あった。今後、注意したい」と釈明した。
ただ、30日の東京都多摩市での応援演説では、自身の発言や稲田朋美防衛相の応援演説などが批判されていることへのいら立ちからか、「ちょっと言葉を間違ったら、えらい目に遭うような時代だ」と述べた。
一方、自民党二階派に所属する鶴保庸介・沖縄北方担当相は30日の閣議後会見で、派閥領袖(りょうしゅう)の二階氏による前日の発言について「選挙の最中は耳目をひく言葉を強い口調で言わなければならない時もあるが、行き過ぎは自重するとともに、節度を持って選挙活動に臨むべきだと思う」と語った。