<福島原発事故>東電元会長初公判 注目点は…弁護士に聞く - 毎日新聞(2017年6月24日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170624-00000047-mai-soci
http://archive.is/2017.06.26-130311/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170624-00000047-mai-soci

2011年3月の東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣3人に対する初公判が30日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。
東電旧経営陣の刑事裁判の注目点について、福島原発告訴団の代理人を務める海渡雄一弁護士(61)に聞いた。【聞き手・伊藤直孝】
検察審査会の起訴議決は、東電が推本の長期評価に基づいて想定津波を15.7メートルと試算し防潮堤の高さを計算するなど津波対策の検討を重ねていたのに、経営陣が待ったをかけて「先送り」したと明らかにした。試算を「念のため」の数字だとして重要視しなかった政府の事故調査委員会や検察とは全く違う構図だ。東電の社内でどのような議論を経て方針が変更されたのか、裁判での解明を期待したい。
起訴議決によると、武藤栄元副社長は08年7月、どのような津波が発生するのかについて東電の技術者らが参加する土木学会の検討に委ねることを指示し、組織としての対策を事実上先送りした。同9月の社内会議では、東電の津波対策担当者が作成したとみられる「学識者の見解や推本の知見を完全に否定することは難しい」「津波対策は不可避」とのメモが配られたが、方針は変わらなかった。
公判では、社内の意思決定の過程がメモや議事録、メールのやり取りなどからある程度明らかになるだろう。同時に、政府事故調や検察がどのような事実を隠していたのかも明らかになる。検察審査会に市民が参加した大きな意義だ。事故が人災だったと明らかになれば、多くの被災者にとって救いになる。指定弁護士の立証に期待したい。