加計問題究明 国会召集に応じる責任 - 東京新聞(2017年6月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017062402000159.html
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獣医学部新設をめぐる真相究明のため、野党四党が臨時国会の召集を要求した。憲法五三条に基づく重い行為だ。安倍政権には要求に応じる責任がある。憲法無視の政治はこれ以上、許されない。
公平・公正であるべき行政判断が「首相の意向」を盾に歪(ゆが)められたのではないか。国民の疑念は解消されるどころか、膨らむばかりだ。安倍晋三首相の「腹心の友」が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部愛媛県今治市に新設する計画である。
内閣府から文部科学省に「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと働き掛けたとする文書の存在が確認されたのに続き、首相の側近である萩生田光一官房副長官文科省に早期開学を求めたと受け取れる文書も見つかった。
国会を召集して、国政調査権を駆使した真相究明は当然である。
しかし、安倍政権側は「早期に行わなくても良いのではないか」(自民党竹下亘国対委員長)と応じるつもりはないようだ。
首相が会見で述べた「何か指摘があれば、政府としてその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たす」との約束は何だったのか。政権は、真相究明に後ろ向きだと断ぜざるを得ない。究明されたら都合の悪い、後ろめたいことでもあるのか。
憲法五三条は衆参どちらかで総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならないと明記する。
同条に基づく臨時国会の召集要求は今回を含めて三十七回(重複を除く)あり、うち三十三回は開かれている。ほとんどの政権が野党の要求に応じてきたが、この憲法規定を完全に無視したのが、今の安倍内閣である。
安全保障関連法の成立が強行された二〇一五年秋、同法が公布され、環太平洋連携協定(TPP)締結交渉が大筋合意し、内閣改造で十人の閣僚が新たに入閣した。
野党が説明を求めて、臨時国会の召集を要求しても、安倍政権は首相の外交日程や一六年度予算編成作業を理由に拒否した。
召集期限が定められていないとはいえ、要求を完全に葬り去るのは暴挙と言わざるを得ない。
首相や閣僚、国会議員を含め公務員には憲法を尊重し、擁護する義務がある。それができないような首相や国会議員に、憲法改正を語る資格はない。国会軽視、憲法無視のあしき振る舞いを、これ以上、認めてはならない。