韓国が脱原発宣言 福島事故教訓に政策転換 - 東京新聞(2017年6月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201706/CK2017062002000127.html
https://megalodon.jp/2017-0620-0951-07/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201706/CK2017062002000127.html

【ソウル=上野実輝彦】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は十九日、南部釜山郊外にある韓国初の古里(コリ)原発1号機の運転終了に合わせ当地で演説し、新規原発の建設白紙化や設計寿命を超えた運転の禁止など、脱原発を推進すると宣言した。李明博(イミョンバク)、朴槿恵(パククネ)両政権で続いた原発依存政策を転換。二〇一一年の東京電力福島第一原発事故後に実施した原子炉の地震対策を再検討し、原発の規制基準も大幅に強化する方針も表明した。
文氏は演説で、福島第一原発事故は「原発が安全、安価ではなく環境にも良くないことを示した」と指摘。「脱原発は逆らうことのできない時代の流れだ」と強調した。さらに規制基準の厳格化や、規制組織の独立性強化にも取り組み、「再生エネルギーや液化天然ガス(LNG)など清潔で安全なエネルギーを育成する」と決意を示した。
韓国には古里1号機を除き原子炉二十四基が設置。古里1号機は約三十年の設計寿命を迎えた〇七年、十年間の運転継続が認められたが、全電源喪失など事故が続発。使用済み核燃料の火災を伴う事故が起きれば、日本でも最大二千八百万人が避難を余儀なくされるとの試算もある。
韓国では石炭火力と原子力を合わせた発電量が総発電量の約70%を占める。一方、代替エネルギーとして期待がかかるLNGは約20%、再生可能エネルギーは4%程度にすぎないため、文氏は「原発は長い時間をかけて少しずつ減らす」と理解を求めた。韓国内ではエネルギー転換に向け、化石燃料に対する課税強化などが議論されている。
文氏は大統領選の公約で、新設計画の白紙化や寿命の延長禁止などを掲げていた。