支持率10ポイント急落で政権に危機感 回復もくろむ - 東京新聞(2017年6月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062002000125.html
https://megalodon.jp/2017-0620-0949-54/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062002000125.html

共同通信社が十七、十八両日実施した世論調査で、安倍内閣の支持率は44・9%と、前回調査から10・5ポイント下がった。学校法人「加計(かけ)学園」問題、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法を巡る与党の強引な国会運営が影響したとみられる。これまでも、内閣支持率が10ポイント以上急落する例はあったが、その後回復した場合もあれば、立ち直れなかったケースもある。
有名なのは森政権。当時の森喜朗首相が、米原潜と実習船「えひめ丸」の衝突事故の報告を受けた後もゴルフを続けたことに批判が高まり、二〇〇一年二月の支持率(共同通信社、以下同じ)は12・2ポイント下がり6・5%に。森首相は翌三月に退陣を表明した。
第一次安倍政権の〇七年六月は、「消えた年金」問題などで支持率は11・8ポイント減の35・8%。三カ月余り後に安倍内閣は総辞職した。民主党(現民進党)政権も、一〇年十月の調査で菅内閣の支持率が16・8ポイント下がり47・6%となるなど、しばしば急落した。
第二次安倍政権発足後も、特定秘密保護法が成立した一三年十二月と、安全保障関連法が衆院を通過した一五年七月の調査で、支持率はそれぞれ10ポイント前後急落。集団的自衛権行使容認を閣議決定した一四年七月も、4・3ポイント減り47・8%になった。少なくともこれらのケースでは、支持率はその後回復している。
今月の世論調査は、多くの報道機関で軒並み支持率が下落。「共謀罪」法が十五日に成立する前に調査したNHKと時事通信社は、下落幅は比較的小さいが、十六日以降に調査した各社は7〜12ポイント下がっている。
政府・自民党内では、厳しい受け止めが広がっている。安倍首相は十九日の会見で陳謝。二階俊博幹事長も十九日の記者会見で「大いに反省していく」と指摘。「(支持率は)回復していくだろう。その方向へ全力を挙げる」と話した。中谷元・前防衛相は加計問題を念頭に、岐阜市内で記者団に「言い抜けや言いっ放しでは国民の理解は進まない。正直に、誠意を持って対応していくべきだ」と語った。
一方、民進党野田佳彦幹事長は会見で「共謀罪強行採決や、加計問題で逃げ切りを図ろうとした姿勢が政権への厳しい数字になっている」と指摘した。(北條香子、北村剛史)