「共謀罪」、強行採決に強く抗議する - 子どもと法・21(子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会)(2017年6月15日)

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共謀罪」、強行採決に強く抗議する
本日、参議院本会議で「共謀罪」が強行採決された。安倍政権になってから強行採決は日常茶飯事であるが、今回はさらに委員会採決を省略し中間報告方式という極めて異例の方式をとった。これは民主主義の自殺行為である。
日本の国会は委員会中心主義を採用している。委員会に案件を付託しその審査を経て、本会議に付するのが原則である。その例外として「中間報告」方式が国会法56の3に定められている。委員会での審議は途中であるが委員会委員長に法案の審議経過を本会議場で「中間報告」させるものである。中間報告がなされた時点で法案の委員会付託は終了し、本会議の議題となる。本会議では代表者が賛否の意見表明(討論)をするだけで審議という意味での議論はない。中間報告方式はあくまで例外で「委員会の審査中の案件について特に必要があるとき」に限られている。
共謀罪」法案の問題点は、本年5月3日の「『共謀罪』法案(組織的犯罪処罰法改正案)に抗議し、撤回するよう求める声明」に挙げたとおりである。そして衆議院法務委員会同様、参議院法務委員会における審議でも、疑問は払拭されるどころかますます膨らんでいる。中間報告方式は2009年の臓器移植法案以来であるが、内心の自由表現の自由という基本的人権の中核をおかす懸念が多くの市民から示されている「共謀罪」法案にあっては、より慎重な審議が求められるのは当然のことである。委員会における審議を途中で打ち切る理由はどこにもない。理由があるとするならば、「加計学園問題」の追及を避けるため以外には考えられない。
本年5月施行70年を迎えた日本国憲法の下で、憲法に反する「共謀罪」が、このような暴挙で制定されるという二重にわたる憲法違反行為に強く抗議する。  
わたしたちは忘れない。真摯な説明をしなかった安倍政権の閣僚・官僚、強行採決に賛成した国会議員等々、数の力で押し切った勢力を、民主主義に悖る方法で採決したこの事態を。
日本国憲法下で本来の民主主義を取り戻すのは、わたしたち主権者である。あらためてそのことに思いを致し、「共謀罪」の廃止を含めわたしたちは行動する。