「共謀罪」、秘密法・安保法の延長線上 改憲へ突き進む安倍政権 - 東京新聞(2017年6月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017061502000139.html
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安倍政権は二〇一二年の第二次政権発足以降、米国との軍事的連携や、情報管理を強化する政策を、根強い反対があるにもかかわらず次々に実現させてきた。戦後日本の外交・安全保障政策を大きく変質させるものだ。「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案も、この延長線上にある。成立すれば、安倍晋三首相は最終目標と位置づける改憲に向かう。
一連の政策は一三年の参院選後に加速した。
同年末、外交・安保の重要政策を首相と少数の閣僚だけで協議する国家安全保障会議(日本版NSC)を創設。同じ時期に特定秘密保護法を成立させた。米国と共有する防衛機密の漏えいを防ぐ目的で、国民の「知る権利」を侵す恐れが指摘された。最近も国連の特別報告者が、ジャーナリストや通報者を萎縮させかねないと問題視している。
一四年七月には、歴代政権の憲法解釈を変更して、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を容認。一五年四月には日米防衛協力指針(ガイドライン)を再改定し、地球規模で米軍の支援ができるようにした。
これら集団的自衛権行使や米軍支援拡大を法律上も可能とするため、十一本の法律を変更・新設した安全保障関連法が、同年九月に成立。首相は「日米同盟は完全に機能し、戦争を未然に防ぐ」と強調した。日本が他国から直接攻撃を受けなくても戦争に加わることが可能になり、憲法九条の平和主義や専守防衛の枠を超えると批判された。
そして、今国会で安倍政権が実現を目指したのが「共謀罪」法案。政府はテロから国民の命と財産を守るためと説明したが、太平洋戦争中に反戦思想を弾圧するために使われた治安維持法との類似性を指摘する声も。捜査当局が法律を恣意(しい)的に運用し、政府方針に反対する団体を監視して萎縮させかねないとの懸念が出ている。
首相は今年五月、「二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい」として、自衛隊の存在を明記する改憲を提案した。自民党は、これを含む四項目について年内の改憲案取りまとめを目指す。安倍政権がこの四年半進めてきた路線の最終段階と言え、憲法に位置づけることの是非が大きな論点となる。 (古田哲也)