「共謀罪」法案 参考人の発言要旨 参院法務委 - 東京新聞(2017年6月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017061402000124.html
https://megalodon.jp/2017-0614-0956-31/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017061402000124.html

13日の参院法務委員会の「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に関する参考人の発言要旨は次の通り。
◆人権に配慮、抑制的
<福田充・日本大危機管理学部教授> テロ対策のグローバルネットワークへの参加が求められているが、日本は責任を十分に果たしていない。国際組織犯罪防止条約を締結すれば、テロに必要な資金や資源を供給する周辺的な組織犯罪を防止して、テロの根本を絶つことができ、諸外国との情報共有や捜査共助が促進される。テロ等準備罪が対象とする二百七十七の犯罪はテロの多様化に対応して、周辺行為をカバーしている。自由、人権に配慮した抑制的なものだ。
◆監視データに規制なし
<山下幸夫弁護士> 政府の活動に反対する団体、例えば沖縄の基地建設や原発の再稼働、憲法改正に反対する団体の構成員や周辺者が、捜査機関によって日常的に監視されるようになる。捜査機関が監視によって得られたデータを管理、運用することに関して、現在何ら規制がない。法案を検討する際には、捜査機関に対する法的規制についても検討しなければならない。この議論を全くしないまま、法案を成立させれば、市民が抱く深刻な懸念を払拭(ふっしょく)できない。廃案にすべきだ。
◆「行為主義」ないがしろ
村井敏邦・一橋大名誉教授> 戦前の治安維持法への反省から、刑法は行為がなければ処罰されないとされてきた。(法案は)刑法の基本原則を変える立法だ。賛成するわけにはいかない。政府は国会審議で「従来の共謀罪と違い、内心を処罰するものではない。準備、計画は一種の行為であり、行為を処罰する原則を変えていない」としているが、犯罪の実行をもって処罰するのが行為主義だ。準備、計画という言葉に変わっても、行為主義の原則をないがしろにする点は変わらない。