読売が「恥の上塗り」前川会見での珍質問(元木 昌彦さん) - プレジデント(2017年6月12日)

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森友学園加計学園の「もりかけ疑惑」が正念場を迎えている。加計学園獣医学部新設について「官邸の最高レベルがいっている」と書かれた「怪文書」。事務方トップだった前川喜平・前文部科学事務次官は、記者会見を開いて文書の存在を認めた。元「週刊現代」編集長の元木昌彦氏は、この会見で出た「守秘義務違反では?」という読売新聞の記者の質問に、強い危機感を抱くという――。

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「身内的問題」に黙ったままでいいのか
私の父親は読売新聞だったから読売のことには多少詳しい。残念だが、読売の伝統はトップが新聞を私物化することだ。

だが、今のナベツネ渡辺恒雄主筆)のように権力ベッタリというやり方をした人間はいない。超ワンマンだった正力松太郎は、新聞よりもその販売益で事業をすることのほうが私には大事だといい放って、当時、社会部にいた本田靖春(ノンフィクション作家)を激怒させた。正力の発言を受けて、本田はあれほど好きだった新聞記者を辞めることを決意する。

「正力物を私は単に嫌っていたのではない。社主による紙面の私物化という、公正であるべき報道の大原則に悖(もと)る事態が現に進行しているにもかかわらず、社内でだれ一人として批判の声を上げないだらしなさに、心底、煮えくり返る思いがしていたのである。(中略)私が職場で常に強調していったのは、自分が現に関わっている身内的問題について、言論の自由を行使できない人間が、社会ないし国家の重大問題について、主張すべきことをしっかり主張できるか、ということであった」(本田靖春著『我、拗ね者として生涯を閉ず』講談社

本田の言葉を今の読売新聞の記者たちは何と聞くのか。それとも安倍御用新聞とでも名前を変更するのだろうか。安倍政権もメディアも正念場である。