(久米宏 ラジオなんですけど)「共謀罪はテロ対策」の説明は誤報レベル! 憲法学者・木村草太さん - TBSラジオ(2017年6月10日)

https://www.tbsradio.jp/154989

例えば、安倍総理が今年(2017年)5月、「憲法9条を改正して、自衛隊の存在を明記する」と発表しました。でももしそうすると、2015年に安倍総理自身の念願で成立させた安保法制を否定することになる可能性がある、と木村さんは指摘します。

憲法自衛隊の存在を明記する場合、その任務の範囲を決めておく必要があります。「個別的自衛権の範囲まで」とするか、「集団的自衛権まで含む」とするか。もし個別的自衛権の範囲までとするなら、安保法制は違憲となってしまいます(安保法制は集団的自衛権を認めていますから)。
となれば、集団的自衛権まで含む範囲という憲法改正案で国民投票にかけることになるわけですが、現状では、集団的自衛権に反対する声は強いので、この国民投票を政府与党が乗り切れるかどうかは微妙。もし否決されれば、安保法制に「NO」を突き付けられることになります。
「こう考えると、この改憲の提案は、国民にとってはともかく、政府与党にとっては実はかなりまずい内容で、いばらの道なんです。そんな提案を躊躇なくしてしまうということは、安倍総理憲法改正について真剣に考えることもせずに、後先考えずにしゃべっているんでしょう」と木村さん。

(久米宏 ラジオなんですけど)今週のスポットライト ゲスト:木村草太(憲法学者) - モブトエキストラ(2017年6月10日)

http://merkmal-for-someone.hatenablog.com/entry/2017/06/10/151608

「今週のスポットライト」のゲストは、木村草太さん
6月10日の「今週のスポットライト」には、憲法学者の木村草太さんをお迎えします。国会の会期末が迫る中、いわゆる「共謀罪」法案などについて伺います。

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久米さん)共謀罪がないとオリンピックができないとか、条約に締結できないと言ってる人がいますが?
木村草太さん)長野オリンピックやりましたし承知できてますから。(苦笑い)
共謀罪がなければできないなら日本が選ばれるわけないじゃないですか。パレルモ条約はマフィア対策の条約ですから、批准のために共謀罪を作るのはおかしいです。パレルモ条約の条文通りに行うと四年以上の懲役刑全てに共謀罪を用いることになりますから、「交通事故の共謀罪」という意味のわからないものも作らなければならないのです。ですから今のままでも条約に締結できますし、締結した後に不備があれば整備すればいいのです。
久米さん)無謀にも憲法9条についてお訊きしたいのですが、自衛隊の明記についてはどう思いますか?
木村草太さん)まずオリンピックと憲法は何も関係ないです(苦笑い)
久米さん)青山通りを広くしよう!みたいな話ですからね。笑
木村草太さん)自衛隊の明記をするということは個別的自衛権までなのか集団的自衛権までなのかを書くことになります。個別的自衛権までだとすれば集団的自衛権違憲になり、集団的自衛権までとすると国民投票をすることになり安保法制はただでは済まないでしょう。
久米さん)なんで安倍さんはそこまでして2020年までに憲法を変えたいのでしょう?
木村草太さん)私も読売新聞を読みましたがよくわかりません。後先考えずに発言しているのでしょう。
久米さん)国会で憲法改憲議論をしてますが自民党は何をやりたいのですか?
木村草太さん)私から見ると自民党は本気でなく、議題を多くすることでお茶を濁しているのだと思います。
久米さん)憲法学者は政治ウォッチャーにならざるを得ないと思うのですが、今の政治はどう見えますか?
木村草太さん)自浄作用がないように見えます。共謀罪が無くてもテロ準備資金提供処罰法が既にあると高山先生が指摘されていますから、「共謀罪がテロ対策」というのはもはや誤報レベルになっています。与党はイデオロギー的な批判だけでなく、合理的な批判に対しても向き合えなくなっていると思います。