(政界地獄耳)加計文書再調査、首相自身がまいた種 - 日刊スポーツ(2017年6月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1837956.html
http://archive.is/2017.06.10-012454/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1837956.html

★出所不明のものは怪文書という扱いだった学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る文科省内閣府の一連の文書について、文科省と官邸は調査のやり直しを決めた。当初、国会の小幅延長で幕引きを図れば忘れられるというもくろみだったろうが、官房長官菅義偉が定例会見で記者団から執拗(しつよう)に「なぜ再調査しないのか」と問われるなど、幕引きには程遠く野党や世論に譲歩した形だ。
★それには昨年夏の内閣改造文教族馳浩文科相から外して、首相・安倍晋三が派閥の四天王の1人に育てたいという松野博一を起用したことも影響する。「首相は松野、防衛相・稲田朋美、党幹事長代行・下村博文を出身派閥・清和会の四天王にしたいと考えているといい、松野は派閥のホープの1人。ここでミソをつけないために松野に柔軟路線を取らせた」(自民党中堅議員)との見方もある。そもそも首相が直接介在しているわけでもない、議論のプロセスの中にある役所間のメールの存在から否定しても意味はなく、そのかたくなさから疑念が持たれたといっても過言ではない。
★「とにかく首相が国会答弁で『印象操作』と連呼したり、いささかむきになりすぎて、国民からも『何かあるのではないか』と勘繰られてもしょうがないほどの激高ぶりで、いわば再調査は首相のまいた種といっていい。それで内閣支持率が下がれば首相はまたイラつく。負の相乗効果だ」(野党幹部)。今までは政権の代わりに民進党政権ができたらどうすると脅かし、かわしてきた批判も、安倍内閣から別の自民党内閣ならいいのではないかに世論が変わると政権はぐらつく。首相はかわし切れるのか。(K)※敬称略