届け 平和のメッセージ イラクから避難の画家:東京 - 東京新聞(2017年6月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201706/CK2017060802000128.html
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不安定な国内情勢が続くイラクからヨルダンに避難している画家ハーニー・ダッラ・アリーさん(48)の個展が十一日まで、練馬区栄町のギャラリー古藤(ふるとう)で開かれている。イラクで生命の木と呼ばれるナツメヤシで作った手すき紙に、農家の女性を描いた作品を展示。ハーニーさんは「命をはぐくむ女性の絵に込めた平和のメッセージを受け取ってほしい」と話す。 (飯田孝幸)
ハーニーさんはイラク東部のヒート出身。国内で創作活動を続けていたが二〇〇三年のイラク戦争後も内戦が続いたため、〇五年に妻や四人の子とヨルダンの首都アンマンに避難した。
「戦争が続くイラクでは、人々は憎しみあい、自由もない状況で生きていた。当時はまひしていたが、国外に出て初めて、当たり前の日常を失っていたことに気付いた」と振り返る。
故郷を離れると「イラクを何とかしないといけない」と考えるようになった。「人は平和で自由であれば、気持ちも美しくなる。だから、作品はただ美しいだけでなく、平和のメッセージが必要だ」という思いで創作を続ける。
今回の個展は、イラクの支援活動を行う市民団体「ピースオン」の代表でハーニーさんの友人でもある相沢恭行さん(46)が企画した。イラクで苦しんでいる女性たちをサポートしたいという思いでハーニーさんが描いた作品三十五点を展示している。
故郷を離れて十二年になるハーニーさん。「故郷に帰りたいか」と問われると、「私の描いた絵のメッセージが伝わり、見た人と心を開き合うことができれば、そこが私の故郷だ」と応じた。
個展は午前十一時〜午後七時(十一日は午後五時まで)。問い合わせは、ピースオン=メールoffice@npopeaceon.org=へ。